ライナーノーツなるもの2018
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白か黒か真か虚辞か俺は誰だ人や否や――10神ACTOR×人狼TLPT S MISSIONに依るモノローグ
幼い子どもは、今ここにあるものについて表す術しか知らないのだという。
彼らは成長とともに、目の前の実際ではない昨日の記憶を、将来の予測を、離れた場所のことを、自由な願望を話す力を身につけていく。それは今や日常的に言葉のやりとりを行なう我々にとっては当たり前にすぎて、もはやその目覚ましさを意識することはないのかもしれない。
だがここで足を止める。
言葉をあやつる能力、それが次第に"今" "ここ"を離れていくことはつまり、"現実を離れていく"ことさえも示しうる。
嘘を吐く。それは言語能力の発達した行く末にある。であればなるほど、人狼、人の姿を借り言葉を駆る彼らの武器には確かに、「嘘」があったのだ。
*
8月に10神ACTORが挑んだ『人狼TLPT』は言葉をあやつり進められるゲーム、その舞台化である。
元々セブンスキャッスルというユニットが主催として制作してきたもので、今回のようにシステムを貸し出し他団体が公演を行なう場合には『― S(シスタ)』という付記がなされている。*1
『人狼』に関しては私などが言うまでもないのだろう。市井での現実のプレイのみならず、このゲームを介することでキャラクター創作が為される場もあれば*2、題材として映像化さえが既に果たされている。
(であればこそタイトルのダッシュ以下は、そこまで膾炙したものだろうと私は私のはまったタイミングでしかまだ知らないんですよ、と言うための免罪符である)
(なのでこう、今更分かりきったことを大発見のように言っていても放っておいてほしいけどいやしかし本家TLPT及びファンの方に何か失礼がありましたら…それは言ってください…)
ルール詳述は上記サイトに任せるとして、主題はこうだ。
「群衆の中に紛れ込み夜毎カニバリズムを行なう人狼を、人は駆逐できるかあるいは喰いちぎられてお終いか?」と。
みな言うことは同じである。「俺は人間だ」。人は真実ゆえ、人狼は嘘ゆえにその言葉を吐き出す。なぁ、目の前の俺が信じたい相手は本当に人なのか?なぁ、俺たちが選んで殺してしまったもう口を開くことのないあいつは本当に、本当に人ではないものだったか?俺はあいつを信じるからこそ闘う、なぁ、なぁあと誰を殺せば俺は生きてここを出られる―― 昼に得票の多かった"疑わしき"が処刑され夜に人狼の選ぶ"排除すべき"が喰われ死体が日々重なっていく中で、疑心に苛まれ他を憎悪し、それでもなお一縷の希望を掲げ必死に頭を巡らす。生き抜こうとする。生死を懸けた攻防、その心理を群像の中で描けるこの題材がプレイヤーという以上に創作勢にとっても魅力的なのは、頷けるところである。
そうしてこの舞台で重ねて特筆すべきは『TLPT』という部分にある。
The Live Playing Theater、そう冠を受けた彼らは、
舞台設定と基本のキャラクターが冒頭の芝居で提示されるが、各回誰が人で誰が人狼かという立ち位置を引き当てるのは公演15分前という直前も直前である。かつ、それは周囲には伏せられたままだ。
結託した人狼同士、また人側の異能者である「予言者」(最初の段階で「人狼でない者」を1人知っている)という例外はあるが、それ以外の演者は、自分以外に確かなことを何一つ知らないまま舞台に足を踏み入れる。
「今をおいて他にない、たった一度の物語」と銘打たれたそれを初めて体感するのは客席の我々だけではない。幕が開くまでどころではない、それがどういう果てになるのかなど、終幕に至る瞬間まで誰の一人も知らないのだ。
ちなみに「改めて自己紹介をしましょう」というくだりからアドリブ部分が始まるのだが、ここで各々のキャラクター設定も毎回異なるものが付加され(というかもはやぶっこまれ)、回によって別のキャラが兄弟や知己同士であったり、しまいには生体兵器とかチャリンコ暴走族とかマイケル・チャクソンの弟(原文ママ)とか福岡を拠点に九州で歌ダンス芝居バラエティとマルチに活動中の10人組エンタテインメント集団10神ACTORのスタイル顔頭三拍子揃った松島勇之介のファンがいたりする事態になる。
その点についても事前に相談して練ったものではないので、ふっかける方はやりたい放題だろうが受ける方は結構たまったもんではない。演者には面白いとおそろしいとどちらが凌駕するのだろう…。
なおこの舞台には見ている"外側"からのゲーム要素として、3日目昼の処刑が終わり夜を過ごす段階で人狼、もしくはすべての役職を当てると記念品がもらえるようになっている。
総員13のうち、役職は以下の通り。
◆人狼 (3)
毎晩1人ずつ人を喰う。"疑わしき"として処刑に追いやられた者を見捨てることはあれど仲間割れはしないので、人狼が人狼を襲うということは無い。かくして、夜が明けたときに死んでいた者は人だと分かることになる。
◆狂陣(1)
人であるが人狼に加担。逆に言えば嘘を吐きながらも人であるので、下記の各異能者によっても黒判定されない厄介さがある。ただし、人狼と狂陣は互いを知らないので、運悪く狂陣が喰われることはありうる。
◆狩人(1)
人側の異能者。夜に誰か1名を守ることができ、それが人狼が選んだ者とかちあった場合は誰も死なずに済む(ただ私が観劇した範囲では守れたためしが…ない…)。その性質ゆえに、人を減らしたい人狼からは真っ先に狙われる対象となるため、能力持ちのカミングアウトはすべきではない。言っておくがこれは前フリだ。
◆予言者(1)
人側の異能者。夜毎1名ずつ、生存者について「人狼か人狼でないか」を判定できる。
◆霊媒師(1)
人側の異能者。処刑された死者について「人狼か人狼でないか」を判定できる。
…残り6人がまっさらな人というわけである。
発言の影響力から、人狼及び狂陣は特に予言者、霊媒師を騙ることがある。能力をカミングアウトしたのは、自らの命を曝して人を救おうとする「人」か?それともその振りをした「人狼」なのか?いや、こうも怒りに、悲痛に、理知に熱を持ち訴えるのは人だからこそではないのか?奴が指し示す先は本当に人か、人狼か、いや、いいや、否、――示し合わせ無しの舞台は混迷を極める。
また処刑直後には「幽霊タイム」という、そこまでに死んだ面子が集まり役職のバラしとフリートークを行なうメタ的な時間がある。
「1昼処刑→幽霊タイム→1夜襲撃、2昼処刑→幽霊タイム→2夜襲撃、3昼処刑→幽霊タイム+解答用紙回収」ということで、5名の犠牲者が出たところで客席は予想を確定させなければならないのだが、回収前に役職をバラしてもらえるのは最初の3名のみである。後半2名のバラしは用紙がまきあげられた後なので、早けりゃこの段階で自分の不正解にしょんぼりすることにね!なるんだね!!!
ちなみに私は4回見に行って1回も当たらなかった*3。洞察力と論理構成力に欠ける…。
「これが真ならば、偽ならば」という点から枝分かれした可能性を頭の中だけで整理し検証するというのは、なかなか骨の折れる作業である。
さて。
MISSION、と付加されたこの人狼TLPTは、殺し屋の集う裏社会が舞台背景となっている。*4
人狼や異能に至った経緯もドラッグによるものとされており、VILLAGE(=集落の中に人狼が潜む基底路線)からは外れているため、キャラクターたちも一般人以上に常に死線に身を晒してきたことが伺える設定である。スーツ、銃、死生観、今に影を落とすこれまでの足跡、それゆえに抱え持つ一縷の未来。そういったものがこのドラマをモノクロに彩る。いやオタク好きだよそういうの。*5
『EPISODE 1 "FIRST CONTACT"』と名付けられたこの公演のあらすじは以下の通りである。
C7ドラッグ。
それは「人狼ドラッグ」と「対人狼ドラッグ」からなる合衆国政府が秘密裏に開発した軍事用ドラッグユニット。
「人狼ドラッグ」は月が昇る間、人を不死身にする。
そのドラッグが福岡を経由し、明日中国に運ばれる。
売買価格は1ユニット350億。
そのC7を強奪すべく、選りすぐりのメンバーが招集される。彼らは普段、表社会で生きるが、裏では殺しも請け負う悪党達である。
強奪は無事成功する。
しかし、
「人狼ドラッグは俺たちが頂いた。」
翌日、そう書かれたメモと共に使用済みの人狼ドラッグ3本が発見される。
そして今、13人の中に紛れた人狼達と人間との生死を賭けた戦いが始まろうとしている……。
シスタ、言うなれば本家TLPTのスピンオフに当たるような立ち位置であるため、「この作品のみでもお楽しみいただけますがぜひ本編も」といったところで、TLPTシリーズにおいて暗躍する女ナナの存在がここでもほのめかされたり、あるいはTLPT本公演に立ってきたキャラクターであるランスらの登壇であったりというのは、おそらくはシリーズの広がりとして本家ファンにとってもおいしいものに違いない。
また、そういった仕組みゆえに、今回の『FIRST CONTACT』では詳細な言及がなかったものであっても、本家を掘り下げると新たな知見が得られるというものもある。C7ユニットについてなど最たるもので、過去のMISSION公演において配布された手記から、その概要を窺い知ることができる。*6
ちなみに手っ取り早くすくい上げれば、
そのドラッグはたとえばLSDのような『五感に影響を与える』だけではなく、いわゆる『第六感』を一時的に開放・強化するものだった。服用することにより『人間のそれをはるかに超える能力を得る』『五感では知りえない情報を知る』ことができる
といったことが書かれ、予言者などの異能の裏付けがされている。
与えられる1。それはこの舞台の全であると同時に10に基づく欠片である。
これは上記のような本家ースピンオフといった関係から言えることだが、私個人の感想を言えば、それだけではない。
繰り返すようにTLPTの要は「今をおいて他にない、たった一度の物語」と銘打った脚本なしのアドリブ芝居に拠るのだが、その日々の、毎回のズレが見ている私に奇異を感じさせたのだ。
ナナに召集されC7ユニットの強奪に乗り出すメンバー。成功から一転、人狼ドラッグの服用者が出たことで互いを疑い合うデスゲームが始まる。その都度役割は違う。また違う者が死ぬ。何度めかの朝に人か、人狼か、どちらかが勝利宣言を下し幕は降り、――そうしてまた初めから物語が繰り返される。それはまるで、
私達はそれを外から見る。別の世界線の彼らを知っている。まぁ演劇というのは公演を重ねる反復活動ではあるしちょっとした日替わり要素があるのはよくあることだが、至る結末が全く違うという舞台を見るというのは初めての経験だった*7。にもかかわらずだ。明くる日の舞台はまた、もう一度、何度でも、そう繰り返し何食わぬ顔で幕を開ける。これが奇異でなくなんだというのか。
単純に、予想外に早く死んでしまってそのキャラの伏線回収が不十分に終わる、ということもあるし、異なる回の設定をすりあわせ、あるいは繋げて捉え考え込んでしまうこともある。あるいは、「ナナがこのループを楽しんでいるのだということこそ、この舞台の大枠なのかもしれない」などと思い至った日さえある。ひたすらに、1の後ろに広がる余白への興味が尽きない舞台だったのだ。これは、思わぬ副産物だった。
合わせて、『人狼TLPT』という題目ではあるが人狼というのは舞台装置であり、物語性は専ら人間の側にあるのだなということを感じた。
人狼は嘘を吐く。彼らは人を減らして自分たちと同数以下にまですれば勝利となるのだが、それこそが目的でありそこに情緒はない。人肉の味わいや可哀想に騙されていく人への快楽はあるだろうが、嘘を吐いて吐いて吐いて心で嘲笑っていられればそれで役割は果たしている。
生存者には役職を秘せられたまま進めるというゲーム進行上の都合でもあるが、本当に人狼である者が処刑されるに至っても、彼らはベラベラとネタばらしをしたりはしない。銃を突きつけられながら最後の最後まで吐くのだ。「俺は人間だ!信じてくれ!」という嘘を。
一方で人だ。殺し屋稼業とはいえ、謂れのない生殺与奪を望むわけではない。胸裏に抱える希望、ここに来て燃え出した信頼、自分を弄ぶ存在への怒り、死を見据えた諦念、奈落に落とされるような悲痛、人と信じた者が殺されることへの激昂――そういったものが彼らから溢れ出る。まっさらな人ですらそうなのだから、異能者においては尚だった。
そもそもは狩人だった。上述の通り、狩人は誰かを守ることのできる力があるが劇中往々にしてそれを果たせない。また、加えて彼には「自分を守ることはできない」というルールが課せられているのだ。
初日を見た後、私の推しの馬越くんが演じたヴァルシュが3、7公演めにも狩人を引き、そして早いうちに喰われることとなったのを知った。そのときの呟きがこれだった。
ところでヴァルシュちゃんはまた狩人でまた死んじゃったのですか 何回「オレがみんなを守るから誰かオレを守ってくれ」に陥ってしまうのか
https://twitter.com/bookmared/status/1027189659405758465
ゲームシステムとしてはグッジョブが起こる、で終わるけど、狩人としての夜ってどう過ごすことになるんだろ 守ると決めた人の部屋の前で座り込んで、眠れもせず神経と身を削って、呼吸も浅くて、そうして闇から襲ってきた最大3人の人狼と戦うのだろうか
https://twitter.com/bookmared/status/1027190982289186816
つらくない?数夜かけて誰も彼もを守りきれずに、身を心を削って、それでもって混濁してそうして意識を手放してしまいそうになったときに獣臭い息遣いに目を開いてさ やっとだ、やっと、俺は誰かを守れる、って思った瞬間に「何言ってんだ。お前だよ」って笑って喰われるの
https://twitter.com/bookmared/status/1027190982289186816
公演序盤は狩人は幻覚を使って対象を守るんだというのを聞き逃していたせいで、部屋の前で寝ずの番をするみたいなイメージで言ってしまっていたのだけど。それでも、力を付加されながらも目の前で命を奪われていく無力感はどれだけだろうか。
あるいは前楽昼、10公演めのテディ。彼は霊媒師だったのだが、その回人狼であったグランもまた霊媒師を騙り、それぞれが別の主張をぶつけていた。我々外の人間は、かの幽霊タイムによりテディの死者に対する判定が正しいことを知っている。けれどそれは舞台上の彼らには伝わらないのだ。
「エリックは人間!ロギは人狼!」
日本語を母語としないだけにテディの言葉は時に端的で、それゆえに壁を貫けない。かくして、グランに押し負けた彼はその怒りに身を染めたまま死んでいくのである。
同じ公演でのクロードもまた、予言者という異能を持たされていた。この回の彼は、かつて同じ特殊部隊に属していたロギを敬愛する人物だった。しかし1日目のある流れから、クロードは彼に疑念を抱くことになる。自分は予言者だ、彼の潔白を知ることができる、そうだ、俺が持たされたのはそのための力だ、こんな曇りなど、どうか、晴らせ――そうこいねがって使った能力が示したのは、無残にも彼が人狼であるという現実であった。
人狼は嘘を吐く。たとえ自分を慕う相手が嗚咽を上げ、まなじりを熱に燃やし、「俺の大好きな人の嘘を、これ以上聞かせるな!!」と叫んだとしても。下手な力など持たなければ知らずに済んだ事実を前に、クロードがロギを殺し、そうしていくつか後の日の下にはクロードが別の凶弾に斃れていく。
誰が望んだ力だというのか。人の心と裏腹に持たされてしまった異能というものは、否応なしにそこに物語を生み出していく。*8
しかしだ。
立ち返って人間たちである。
人狼というゲームが個ではなく陣営としての勝利を目指す特性を持つこともあり、「人は人を信じ生き抜く」ということが根底のテーマともなりうる。何も持たず、ただ抱えるのが自分の心だけだとしたら、その信じた先が壁に打ち勝ったときに輝く光はいかほどのものか。
全12公演。通しての勝敗は人8、人狼4であるが、千秋楽に生き残ったのは人であった。
最後の引き金を引いたのは、リンツである。
互いに人だと信じた相手であるランスは昨夜殺された。彼が東京のファミリーに遺した帽子を継ぎ、その遺志を銃弾に込める。人狼であるヴァルシュは床に引き倒され銃口を突きつけられて尚騙る。笑う。
「バカばっかだなァ!」
まさに自分が喰ったはずのランスの口癖を引いて。
「ーーめちゃくちゃ犠牲は出したけど、俺たち人間の勝利だ!」
――最終幕にしてリンツが高らかに叫んだこの宣言は、10神ACTOR×人狼TLPT S MISSION EPISODE1 "FIRST CONTACT"というループを脱する締めの台詞としては、最高ではないだろうか?
いつか、また福岡で彼らは相まみえるだろうか。
それはおそらくは、ナナという女次第なのかもしれない。
10神ACTOR×人狼TLPT S MISSION EPISODE1 "FIRST CONTACT" 戦績*9
*1:
=人狼TLPT S(シスタ)とは=
オラクルナイツのサポートによって上演される、人狼TLPTと同じ形式の舞台公演です。
公演ごとに主催者は異なりますが、ゲーム指導や構成などオラクルナイツがバックアップしてまいります。
*2:あれじゃない? 一昔前はどのジャンルにもバトロワパロがあったみたいな…いや詳しくは…分かんないけど…
*3:
私が入ったのは4回で
①(人狼1人勝ち)「人間はバカばっかだな!」エンド
⑤(人間4人)「半端に殺し屋やってねぇだろ?」報酬争奪仲間割れエンド
⑩(狂陣と人狼2人)「残りのドラッグは東京にばらまくか」新しいパーティーの始まりだ!エンド
⑫(人間2人)「俺たち人間の勝利だ!」エンド
*4:TLPTでは他、魔女同士の争いであるWITCHやスチームパンク背景のSTEAMなどのステージがあるとのこと。えっ…ちょっと深入りするとオタクホイホイすぎるのでは… http://7th-castle.com/jinrou/history.php
*5:
治安の悪さを欲しているKAT-TUN担諸氏!明日のお昼フクオカディビジョンの争い当日券ご用意してますよ!人狼ゲームの舞台化・ドラッグとスーツと硝煙と雷鳴があなたを待っています!博多とマリンメッセの中間地点!ちょうどいい!10神ACTORを!!よろしくね!!!
https://twitter.com/10jinactor/status/1025236231100162048
8/4、5とマリンメッセでKAT-TUNのライブがあっていたので、なんとかこっちの当日券に誘導できないかなって流したツイート。ありがたくも何人かがRTしてくれた…
*7:見には行きそびれたけれど、シーラッハ『テロ』のように結末が複数用意されている、というのはあると思う。ハイジャックされた飛行機が、テロリストによってスタジアムに落とされようとしていた。スタジアムの7万の観客を守るために、機内数百の乗客を撃墜した軍人は果たして有罪か無罪か? 結末は幕間の客席投票によって決められる。
*8:直近で見てたアニメが『デビルマンcrybaby』と『キルラキル』だっただけにすごい尚更感がありましたね…特に明くん、めっちゃ「俺の心は人間だ!」って言うしさ…
*9:他の方にも教えていただいたりしてあらかた埋まったのですが、3公演めの生存者と6公演めの霊媒師が分からずじまいとなりました…あのね!10アクのファン層レポする文化が希薄!!いつもほぼ孤軍奮闘して早1年が経ったよ…!!!どなたかご存知だったら!よろしく!!ね!!!
ときめきは時価でおいくら?/いちオタクによる推しアクセ披露
持っているだけで気分を上げてくれる、お気に入りの「推しアクセ」はありますか? 好きなキャラのモチーフカラーを日常に取り入れてみたり、推しと同じグッズを買ってみたりして、日々を生き抜いている人は多いのではないでしょうか。
こんな言葉で始まる、ねとらぼさんの記事カテゴリ「推しアクセ」。http://www.itmedia.co.jp/author/218905/#utm_term=share_sp
それは日々の気持ちを上げるささやかなきっかけ、現場への高鳴りを増幅させるアイテム、そうしてちらりと自分のこだわりを込められるものたちなのだと思います。
もともと人のカバンや手帳の中身を拝見する記事がとても好きなのですが、そこへ来ての「推しアクセ」です。人の好きなもの語りってすごい楽しいですよね。また皆さん揃いも揃っておしゃれだ…。
その一端に並べられるかどうかはわかりませんし勝手ながらではありますが、真似っこをさせていただいてつるりとした文を。
栞 福岡のしがない会社員です。
オタク出自は二次元ですが、担当はジャニーズJr.の真田佑馬くん。加えて推しは地元福岡のエンタテインメント集団・10神ACTORの馬越琢己くんと来て、三次元から一周回って再び行き着いた二次元の推しはヒプノシスマイクの伊弉冉一二三くんです。
担当と推しの呼び分けは、重たいものをぶつけすぎた反省によります。(真田くん周りについてはこの辺りを読んで察してください)
青く澄んでは日照りの中 遠く遠くに燈が灯る - 一度や二度の悲しみじゃなくて http://bookmared.hatenablog.com/entry/2017/04/03/025908
それでは。
***
生来オタクとしてここまで生きてきましたが、基本的に「赤」が紐づく人を好きになりがちというのが一貫した性質です。『スクライド』のカズマに端を発しますが、ざっくり言えば情があるゆえに戦いに身を投じざるを得ない人。
触れた順序は前後しますが、『スケバン刑事』をバイブルとする私の中では「己の性癖の源流はすべて麻宮サキ理論」を展開しています。最終巻のタイトルは「紅の血 紅の花」ですし、セーラー服を身にまとっていても彼女のオーラ的なものはやはり赤なのでしょう。
例に漏れずか縁あってか、真田くんのメンバーカラーは赤でした*1。 ということでずっと赤のアクセサリーを探していたんですが、なかなか真っ赤!っていうのって店頭では見つからず…というところでたどり着いたのが、minneで販売をされていたこちらでした。
宵待屋『口紅ドロップ』 #minne http://minne.com/items/178111
シンプルなだけに透き通った赤の力強さがあるイヤリングとネックレス。金具が金色なのも、シンメの野澤くんと居並ぶときにはそれぞれが赤×金、青×銀であった彼にはすごくぴったりで見る度うっとりするのでした。
宵待屋さん、他にもとても綺麗な石のアクセサリーをたくさんつくられています。
合わせて、レジンに少しだけはまっていた時期に自作したのがこちら。
透明のレジン液に赤と青のシェルパーツを入れて、下のパールも白と黒とでシンメっぽさを意識していました。
少し欠けていたりテグスの使い方が下手で若干浮いていたりするのですが、売り物にするでなし自分用なら許容範囲かな…という感じ。自作アクセ、付けるに耐えうるクオリティか?とそれが果たして自分に似合うか?と挙げ句それを含めてトータルコーディネートできるか?という三重苦を常に背負っている。いいんだよ眺めてりゃあ。
だがしかしそれでも、なんと10・11月に野澤くんの現場が決まったので(ふぉ〜ゆ〜主演です!)東京につけていこうかなぁ。
また2人が揃う舞台が、見たいなぁ。
追って下手なりの自作道。 10神ACTORにはメンバーカラーはありませんが*2、馬越くんもイメージは赤と言われるのが多い人です。
去年彼らにハマったタイミングで公式のYouTubeチャンネル(過去の冠番組が上がっています)を見ていると、船釣りにも!運動会にも!!レッツ革靴!!!みたいな場面が多々あって、(゚ω゚)なるほど…と謎の得心をした私は赤×革のアクセづくりに勤しむのでした。
(運動会は別の回の画像です)
何度も言うけど低クオリティはスルーしといてくれよな!
1つめ。革紐をワイヤーで巻いてあるのはご愛嬌。やはり思うような赤!ってなかなかなくて、だいぶ暗めの石を使ってあります。最初のライブ現場である熊本ワンマンに付けていった良い思い出。
2代めというかなんというか。季節が徐々に移ろっていったのに合わせて冬仕様をつくろうとしたのがこちら。リボンが上に乗っかったことによって、サン宝石のほっぺちゃんみたいだな…などとなる。
「というかなんというか」なのは、なくしたり金具が折れたりなんだりしてもはや正確には何代めか分からないせいです。集合写真を見ての通り現在も片割れしかないので、バッグチャームにでもしてまた新調しようかな…という向きあり。最近は革靴のくだりないしな…。
と来て、久っっっ々に同時並行で入れ込むことになった二次元の推しが一二三です。女性恐怖症克服のためにホストになりシンジュクナンバーワンにまでなる、健気でチャラい美人さん。かの人は右奥。
赤くないですね? いいや。リピートアフターミー、「己の性癖の源流はすべて麻宮サキ理論」。
彼女については作中で「あの人はたとえようもなくやさしい しかしあの人が強く生きていくには 弱い者を守って生きるには そのやさしさすべてをひきちぎって働くしかない人だ」というセリフがあるのですが、一二三は私の中でそのセンサーに引っ掛かったと思ってください。推しなんてフィルターだよ。あとCV木島さんの声が品があってとても好きです…。
で!!! 彼が付けているような金色のバラ(で合っているのか)のアクセが欲しくて欲しくて! だって推しアクセが!!欲しいもん!!!
こういうデザインだとピアスしかないかな〜どうかな〜と思って一通り巡っていたのですが、無事にコンバーターとセットで買うことで事なきを得ました。前からコンバーター試してみたかったので良きタイミングです。
買ったのは厳密にはバラではないのですが、ほどよく小ぶりであまり主張しすぎないのがいいな〜と思ってなかなか気に入っています。うれしい!!!
というところで、ほぼ今日の戦果を報告したいがためのブログというわけでした!
今後とも推しアクセ道分け入っていくぞ〜〜〜
他狙っているもの。
超かっこいい赤と青のピアス。催事で見かけたのですが、そのときはコンバーターを知らなかったので諦めていたのでした。そして今たぶんラインナップにはない…いやない、ないんだけど、それでも他に並ぶアクセサリーがどれもめちゃくちゃ綺麗です。あぁぁ赤青揃えて無駄に威圧感出していきたい。
今日もう1こ見つけたこちらはこれぞバラ!という感じのイヤリング。下のパーツが夏に限られるかなーと思って保留にしてしまった。でもかわいい。
パルナートポックストア☆8/3新作☆
紅鮭 タックピン 1,800円
皮がパリッパリに焼けた美味しそうな紅鮭がタックピンになっちゃいました。
白いご飯持って来てーと言いたくなる程リアルに仕上がってます。
二度見されちゃう注目度抜群アイテムですよ💫https://palnartpoc-store.com/newitem #焼き鮭
紅鮭。えっ…焼きジャケ…。
*2:ACTORS, Fire, and Heroic Things――10神ACTORメンバーカラー不依拠論 - 一度や二度の悲しみじゃなくて http://bookmared.hatenablog.com/entry/2018/04/13/190247
己のマイクで愛しい「ゆび」さえ照射せよ--『漢詩入門 はじめのはじめ』に引く「ことば」覚書
ヒプノシスマイク興隆してますね。かくいう私は去年の11月にぼんやりシンジュクのオンナになったと思ったら今年のGWを潔くバトルアンセムに溶かされかつ今もシブジュクの争いに思いきり精神干渉され続けているわけですが。そうやって沼に入り込む度に揺さぶられてしまうのがとかく「言葉の面白さ」です。
言葉は「特定化を許容するだけの融通性を内蔵している」といいます。
例えば三角形、と言えば四角形や丸や星といった他の形とは違う、これは三角形というものなのだ、との区別ができる一方で、その言葉は「正三角形でも二等辺でもなく、また不等辺でもなく、同時にこれらすべてでもあり、かつそのいずれでもないようなもの」すべてを一度に内包しています。*1
融通性、というのが大事です。何もかもを別々の言葉で完全に区別して指そう!私の持っているペンとあなたの持っているペンを区別して示すための言葉は10001字めが違います!とかなったらもう気が狂うわけで、ペン、という言葉さえあれば持ち主とか色とか太さとかにある程度幅があるものが一度に示せます(一方ではもちろん鉛筆や筆といった他の筆記具なりなんなりとを分けて特定する機能も備えたままである)(あるいはその特定性を前提として繋がりをずらす、時に逸脱するのが比喩とも言える。ペンは剣よりヒプノシスマイク。)。
言葉がそういうグラデーションの世界で成り立っているがために、人には創造/想像の余地があるわけです。独歩も「本当の世界は想像よりもはるかに小さい」て言うてます。ここで「想像できる世界は現実よりもはるかに大きい」とは言わない辺りが独歩なのでしょうが。乱数が言う通りだよ、ドーナツを見なよ独歩ぉ…焼きジャケ見えるんだから見えるって…。*2
で。例えばバトルアンセム銃兎の
48時間勾留(ヨンパチ)喰らうか?臭い飯食うか?
鉛玉喰らうか?とばっちり食うか?
という畳み掛けなんかはまさに「食う」という言葉の多義性=グラデーションが詰め込まれた部分であって。
試しにコトバンクで「食う」を引いてみると、意味として17こもの説明が挙げられています。まぁこの場合はほぼ11の「望ましくない行為を受ける」に当たるんでしょうが。
あと典型的な字義でありそうな「臭い飯食う」にしてもただそれだけではなく、このまとまり自体が刑務所行きを示す慣用句として既に機能している。そもそも48時間というのは逮捕直後の警察の取り調べ上限のことなので、歌詞の中では「捕」という漢字一文字さえ使わずにその表現をこなしていると。面白すぎるでしょうがよこんなん(「勾留」については警察から検察庁に送られた後の話というのがおそらく正確なところではありますが)。
他にも、一郎の放つ「Rest In Peace」は本来「安らかに眠れ」という弔いの言葉であるところ、敵に発しているという文脈ひとつでテメェ死んどけや殺すぞという皮肉に変わるわけです。グラデーション行き過ぎてドス黒くなってますけど。
そこに加えて、韻以上の音の遊び(ジゴロの意味を保ちつつ数字の語呂合わせを重ねかつ名前と連ねてきちんとカウントアップする「一二三GIGOLO一つづつを積み重ねる」とかマジでヤバい天才すぎる)*3、表意文字である漢字を取り込んで使う日本語ならではの振り仮名による遊び(幻太郎の「謬錯(バグ)」。語謬の方がよく聞く気がするけどそちらではなくどちらも誤りという意味の漢字をわざわざ重ねた上で読みはバグというのはそれは、果たして自然発生か人為的か故意か過失か?とか考え込みはじめて沼にはまる)*4などなど楽しいことこの上ない。この上!なくて!!!めっちゃ楽しいんですよ!!!!!
という導入は盛り上がりつつともかくとして。
漢詩ということであればなおさら韻の話じゃねぇのかよというところですが*5、安藤信広『漢詩入門 はじめのはじめ』(東京美術)の随所がものすごい好きなので覚え書きをというのがここの本題です。特にp.101の文はこれまでにもツイッターであれブログであれ何度も引いてきたものなのですが、詩、リリックを生み出すこと、引いては人が言葉を尽くそうとすることの根源ともいえる憧憬だと思います。まずはそこから始めて、各所手元に控えておきます。
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p.4
詩というのは、絵筆も絵の具もいらない、
李白 贈汪倫李白乗舟将欲行忽聞岸上踏歌声桃花潭水深千尺不及汪倫送我情李白舟に乗りて将に行かんと欲す忽ち聞く岸上踏歌の声桃花潭の水深さ千尺及ばす汪倫の我を送るの情に
李白 望天門山天門中断楚江開碧水東流至北廻両岸青山相対出孤帆一片日辺来天門中断して楚江開き碧水東に流れ北に至って廻る両岸の青山相対して出で孤帆一片日辺より来る
<スキーマ>とは、高度に抽象的な心的イメージのことである/哲学者ロックが<典型的な三角形>のイメージとは「正三角形でも二等辺でもなく、また不等辺でもなく、同時にこれらすべてでもあり、かつそのいずれでもないようなもの」であると述べた/特定化を許容するだけの融通性を内蔵している
*2:ただ後で気付いたんですが、これはそう単純にネガティブの一端として発せられたものというわけではなく、確かに現実を見据えて立った末での言葉と捉えることもできるのかなぁなどともとも思いました。というのは、ペシミストというのはまだ起こっていないことを悪い方悪い方に考えてしまってそれゆえに、「可能性に対して」こわいという気持ちを持って止まってしまうわけであって。だけどそういうのって、いざやってみたらなんてことはなかった、「思ったほどはなかった」で済むことってよくあると思うんですよね。私たちもたぶん大なり小なり実感したことはある。そう考えると、「本当の世界は想像よりもはるかに小さい」、それは、そうだ、勝手に考えてるような場所よりほんとうはあっけなくて、ちんけで、全然立ち向かえるような場所なんだ。ほんとうは恐れるに足らないんだよって。そういう風に言った言葉かもしれないよなぁって、思ったりします。
*3:「づつ」は原文ママです。本来は「ずつ」でしょうが同じ曲で「ヒックリ 変えす」という表記が使われているのでどこまでが意図的なズレかは分かりません。ただし×GIGORO ○GIGOLOは誤字でしょうね名前だからね…!名前は間違えちゃいかん。 まぁ本来とか言ったところで四つ仮名の話とかちゃんと勉強してないし難しいのでなんとも言えません
*4:表意文字ならではというところではこれが面白かった 海外にもキラキラネームはありますか。漢字のない国ではどうキラキラさせるのでしょうか | ことばの疑問 | ことば研究館 https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-37/
*5:日本語ラップの韻分析については、この号掲載の文が面白かったです 雑誌『日本語学』 2017年10月号 - 明治書院 http://www.meijishoin.co.jp/book/b307862.html
*6:とは書かれていますが自動詞と他動詞という区別は英語に特有なのではなくて日本語にもあります
髪と銃
キクの体は硬かった。
高く跳ぶためにしつらえられてきたからだ。どうにもしようがない怒りを打ち付けてつくられてきた、その。
隣に寝転ぶと鍛えようのない髪すらちくちくと刺さって、熟れる前のいが栗みたい、と笑いながらずっと触っていたらへそを曲げられたことがあった。
あたしは自分の身を抱き込んで見下ろす。シャリ、と布が擦れる音がした。
あたしの体、湿り気を持った糸みたいな髪の束、沈んだベッド、そうしてガリバーさえもが生温い熱を蓄えていて、それ以外は雨の底みたいに冷えきったこの部屋の中で、キクだけが硬質で、冴えていて、鋭利な火を押し込めたような存在だった。
あたしの熱はキクに感化されて、でも頼りきらないであたしの温度を上げる。これが本来のあたしだって言うみたいに、穏やかに火照る身が気持ちよくて、キクの隣で笑みがこぼれた。
頭の重みで枕にもちくりと跡を残すのだ。懲りもせずにその髪に触るからキクはもうあたしを止めるのをあきらめたのはしばらくと前の話だ。
ただ、呟く。
「髪の長い奴と寝るのは初めてなのかもしれないな」
あたしは途端に沸騰したみたいに腹が立った。むかっとして引き抜いた枕を顔に叩き付けるとキクはそれを防いで怒ったように言いかえす。動きに合わせて舞ったあたしの髪に煙たい顔をする。(比喩とかじゃなくて、おそらくほんとうに鼻先を掠めたりしたのだ)
「ハシだって、和代だって髪は短いんだ」
──そうして途端に冴えた。知ってる。知ってるわ。
ハシって。あの"弟"の名前だ。それから、そうね、それって
「──…あんたって、親のこと、和代って呼ぶのね」
「…そういえばそうだな?」
あたしが零して落とした言葉に、キク自身も今気付いたというような顔をした。
ねぇキク。
あたし最高にうれしいし、それから最高に虚しいのよ。
あんたがやけっぱちで誰も彼もと肌を求めるような人間じゃなかったからうれしいの。あたしに辿り着いて、あたしたちがパズルみたいにイビツで合うんだってことが最高に最高なの。
だけどそうよ。
あんた、お母さん以外の人をお母さんって呼べないのよ。
銃を手にしたキクを目の前にして、あたしはあんたのこと嫌いになりそうだった。
ねぇ、ねぇキク、銃なんて殺したって1人か2人じゃない。あんたとあたしはこの東京を沈めようとさえしてるのに、どうしてそんなもの使うの。どうしてそんな矛先の鋭利なものを、あんたは狙って、つがえて、そうして、
──…分かっているのだ。分かっていても認めたくないから追いやる。でも追いやっても追いやっても声は止みやしない。頭で鳴り響くからかき消すみたいに叫び声を上げた。
「ダチュラを忘れたの!!!」
ねぇキク、銃はとっておきの相手を殺すためにあるのね。あんたを腹の中に詰めてた女を、あんたをコインロッカーに詰めた女を、憎くてたまらない大好きな、あんたのお母さんを。
あたしたちは漫然としたこの東京を白く塗りつぶす。だけど、あんたがそれを忘れてしまったっていうなら、あたしは銃であんたを殺してあげる。
あんたを殺すというのならあたしは絶対に、銃を手にするだろう。
そうしてこの柔らかい肌で腹に抱えて抱きしめて、嗚咽を上げるのだ。
…だって、愛してるもの。
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コインロッカー・ベイビーズ2018、開幕おめでとうございます。
酔ひたまま人々は恋の夢を見るのか?/劇メシ福岡・あさ恋まとめ
※※感想なので当たり前ですがネタバレを含みます※※
いやまぁ、ぼやぼやしてたらもう千秋楽も終わっちゃったのでネタバレ配慮いらないような気もしますが念のためね。互いに自衛をね。
というかネタバレをしない範囲となると「ちょっと待って馬越くんふくらはぎが存在しないな?(足が細いことに関して)」とか「えっ…一咲さんの足さ…つまようじ製とかなんじゃないかな…?(足が細いことに関して)」とかそういうしょうもない言説しかできなくなるので、ペロッと軽率にネタはバレます。いやお前のネタバレ感想はしょうもなくないのかと問われると…答えに詰まるんですけど…。そんなのでよければどうぞお付き合いください…m(_ _)m
ってなわけでまずはあらすじから。
ピボ振りは結構セリフも記録してるんですけど*1、さすがに1回だと全っ然無理だな…。あのときは物語の軸になる部分はほんとにきちっと残したくてメモとってたんですが(太字の部分)、さすがにあの明るいレストランでガリッガリ本番中にもペンを走らせるとなると変人感がひどすぎるでしょ…。
しかしほんとにセリフ覚えてなくてポンコツすぎる。前後関係とか機微とかあやしいので、違ぇわ!ってところがあればご指摘ください…。
****
婚活イベント常連の理子(一咲)と、連れられてやってきた従姉の言栄(chelu)。2人は、理子の参加が50回を超えた特典により、プラチナシステムイベントに招かれたのだ。
210もの条件を挙げ「今度はアーティストとかと出会いたいな~!」と夢見る理子と、歴史オタクがにじみ出てしまい「タイプは斎藤一と光源氏」と言ってはばからない言栄だが、責任者の御厨(横大路)は、実績に基づき理想の相手を紹介することができると、2人、そして新人コンシェルジュの朝倉(田中/篠原Wキャスト)に説明する。
しかし、早速現れたかと思った秋元(関岡)は予定外の来客であり、誤魔化した御厨により待ちぼうけ。遅れて本来の面子がやってくるも、言栄の相手となる柏木(岡)はともあれ(御厨とは催眠セミナーのワークショップでの面識もある)、理子の相手の源(馬越)はどう見ても挙動不審なアニオタであり御厨は動揺を隠せない。秋元・源を手配したスタッフに慌てて連絡をとるも捕まらず。かといって場をとりやめにすることもできず、半ばやけのような状態でイベントは始まってしまうのだった。
穏やかに話の弾む言栄・柏木とは対照的に、案の定、オタク趣味全開で女性経験もなさそうな源に辟易する理子。そのテーブルだけでなく、セッティングを迫る秋元や、一向に人の名前も覚えず読めない言動ばかりの朝倉へのフォローにも追われ、御厨は疲労困憊である。
そんな中、理子がとうとうこらえきれずに泣き出し席を立ってしまう。言栄が慰めるも、「ことちゃんはいいよ、柏木さんみたいな素敵な人が相手なんだから!」と余計に泣く始末。ところが、実は理子が挙げていたのはいずれも「170cm以上、80kg未満」「猫より犬派」など比較的緩いものや些末なものばかりであり、条件の指定が下手であったことが発覚するも、ようやく連絡のとれたスタッフによると源はそれら210ものハードルすべてをクリアした人物なのだという。「性格の良い人」、というものを含め。
一方の置いていかれた男性陣も2人で話を交わしていた。素の自分を好きになってくれたらいいけど、やっぱり女性とうまく話せない。そう落ち込む源に声をかける柏木だが、源の一挙一動を見るごとに心臓は跳ね、自分の中で雷のような音が響く気に駆られてしまう。柏木は気持ちを抑えて取り繕おうとするが、秋元の「インパクトが来たときに行くんだよ!」という言葉についに心を決める(ただし秋元は下痢の話をしている)。
理子の懇願によりペアを替えることになった面々。上機嫌の理子は、半ば上の空の柏木の様子にも気付かない。片や源は、オタクオーラがにじみ出す言栄とはしっかりと話すことができ安心していたが、自分のフルネームが「源光輝」であることに途端に興奮され困ってしまう。「光源氏と一字違いなんて!絶対に運命!!」盛り上がる言栄を押しとどめようとする源。いくら好きになってもらったって、そういった理由であれば困るのだ、言栄にはきちんと話さなくてはいけない、だって、だって僕は。それぞれの思いがある中でイベントは終盤、告白タイムに突入する。
告白希望に勢いよく挙手をする理子と言栄。しかし理子は「自分に嘘はつけない」と柏木に振られてしまう。そうして続けられる言栄の告白に対しても、源は口ごもる。
「──だってその人、源さんじゃないですもん」
突如、呑気な声が割り込んだ。朝倉だ。訳が分からず混乱する御厨や言栄たちをよそに、お互いが覚えていたことを喜び合う源と朝倉。
「僕と斎藤さん、対バンで会ったことあるんですよぉ」
「…MAN WITH A SESSIONのボーカル?!」
つまりはだ。源光輝は偽名、クマのかぶりもので有名なバンドとして有名な彼は、肩書にとらわれずに素の自分を見てほしいとの思いで参加していたのだ。
夢のようなアーティストとの出会いにころっと過熱する理子、一度は絶望するも源の本名が斎藤一だと知り再度運命論をかざす言栄、自分を解放し正直になろうとする柏木、それからそれから。
はてさて、みんなの恋の結末は。
****
なんか…まとめが光輝くん総モテエンドみたいになってしまった…。いや全然私の書き方が悪いだけで、光輝くんが中心とか誰が主役脇役というわけではなく、婚活参加者のみならずスタッフ側の御厨さんやさくらちゃん含めみんなが同等にわーーーっと活躍する感じがあって面白かったです。あっ私が見た回のさくらちゃんは男性キャストの篠原さんです。あと光輝くんの読み方はみつきくんです。
さて以下はだらだら覚え書き〜。
・最初に言うのもなんなんですが最初に書くことでこれきりにしますんですいません。
いやーーーもう平成もじきに終わろうかというこの2018年にもう○○女子とかやめない?!めんどくさくない?!そら実態として理系に進学する男女比率ってあるかもしれないけど○○女子ってカテゴライズして何すんの?!っていうかリケジョより歴女の話ですよ私のこの昂りはね?!!歴女呼びにしても、いやそら狭く深くあれその他のジャンル以外にも目を向けてたら一人者認定しませーんってわけじゃないけど写真も残ってるような実在の人物斉藤一と架空の人物である光源氏をタイプに並べて歴女ってくくるのはちょっと無理があると思うしタイトルだってあさきゆめみしって源氏物語の方に寄せてるわけで、でもまぁそういう文学とか語学に傾倒する女性を取り分けて言う言葉がたぶんないんだもんね、リケジョに対してどうしても歴女ってつけたかったんでしょうね!まぁ再演だというのでその辺り今あげつらってもあれかなとは思うけど…って初演2016年ーーー!そう前でもないーーーー!…そっか!!そっすか!!!あぁーめんどくせぇなダァーラッシャーーーーーー(ここでちゃぶ台を放り投げる)
などということは思うには思ったのですが、言い出しても仕方がないのでこれきりにします。まぁ確かに、1時間ほどというコンパクトな上演時間を考えるとさっとキャラクターを伝える手立てとしては必要かなとは。思うし。光輝くんのアニオタにしても。
その点役者の罪ではない。というのは重々押していきたい。
<10アク以外の方々>
・横大路さんは、初めに出てくるしさくらちゃんと一緒に舞台設定を伝えて掴みに行かないといけないからやっぱり大変だよねぇ。ちょっとだけ分かるんですけど、左右されすぎてもあれなんだけど観客のリアクションの有無ってものすごい演者の心に来るんですよね…。そこを押して初っぱな空間を作り上げる意気はさすが本業の方なんだな〜…と眺めていた。
御厨さんってイベント責任者ではあるんだけど、さくらちゃんとか(電話の向こうにしか出てこないけど)高木とかに振り回されて、ちゅっ…中間管理職の悲哀…!って感じでお芝居で見る分にはめっちゃ笑ってしまったww
あと東京公演だと秋元役だとのことなので、それも見てみたいなぁー。かき回す役得意そう。
・新人でめっちゃ怒られる朝井さくらちゃん、あれもうナースのお仕事。あ〜さ〜く〜ら〜💢ってやつ。途中真ん中の通路で御厨さんがフルネームで怒ったときにようやく気付いた。私もリアルタイムで見ていたわけではないのですが、そのネタが実感できるの横大路さんくらいなのでは…。
・今回さくらちゃんはWキャストで男女が違ったわけなんですが、田中さん(女性キャスト)の回だと光輝くんは普通にしゃべれるんだろうか。女性でも対バンの知り合いだから大丈夫なんだろうか。
・さくらちゃん、あのにこにこきゃっきゃしたかわいい顔のままでデスメタルとか歌ってほしい。
・まぁ実際ことちゃんが何のオタクであれ、オタクの雰囲気というかやりがちな動きとかしゃべりはまさにそのものでcheluさんすごかった…! 途中でどこかな、奥のテーブルの方だったので光輝くんとしゃべってるときだったと思うんだけど、上向いて腕が宙をかくところがあってあれすっごいオタクっぽかった…。目の前のことに対して自分の語彙力に限界を感じ、とりあえず高ぶった気持ちをどうにもできず体を動かしてしまうやつ…。
終演後着替えて素で出てこられたときはとてもおしゃれなお姉さんだったので余計に、役者さんすごいなぁとなったのでした。(いや世の中擬態がすごいうまいオタクもいるけど)(そして私の方がお姉さんですけど) あのねぇ、銀のめっちゃ大振りなピアスがめっっっっちゃかっこよかった!!! あと一咲さんとの福岡自撮り旅のオフショルめっっっちゃ好き。
・というかガールズキャラバンの動画拝見したんですけど、一咲さんのほうがよっぽど素はインドアなんですね。映画や小説、動画はともかくポケGOを家の中でやるとはいったい…。
終演後にお話させてもらって、キャラが違うから大変だったみたいに仰ってたんですが、動画を見てから振り返ると確かに…終始高い声とテンションを保っていたのですごかった…。ピボ振りのときにも役の脱ぎ着という話をブログでしてたんですが、本編中は全然理子の役を脱がない!!!みたいな感じだった。
そしてめっちゃ…めっちゃかわいかった…。ヒールを履くと男性陣とあまり変わらないくらいすらっとして身長も高いんですが、それで何かあるごとにびえびえ 。゚(⊃Д⊂。)゚。ことちゃああああんって泣くので庇護したい欲が過ぎた。ことちゃんと理子のスピンオフほしい。
・いちばん好きなくだりは、理子の210この条件がなんじゃこりゃみたいなやつばっかりだったときの「へたくそなの?!!」って言うことちゃんです。
・私がオタクであることなどこんな長文を書き散らしていることからもしゃべるのが下手なことからも丸分かりでありそしてオタクの友達はオタクなのですが、ことちゃん、大学時代の友人にすごい似てた。あの頃私はまだ二次元寄りだったので、特撮とか音楽が好きだった彼女にいろいろ連れてってもらったなぁー。D-STAGEとか石田ショーキチさんのライブとか。北海道出身の子だったので、関東で北海道のオタクと九州のオタクがそろってレバンガの応援でバスケ見たりとかしていた…。
・ことちゃん、戦国BASARAを引き合いに出して真田幸村の話もしてたけど、光源氏(平安文学)、斎藤一(幕末)と来ていったいどこが専門というか推しなんだろう。幸村は推しではなさそうなのにある一定の知識はちゃんと披露できる、そこがザ☆オタク。
私新選組の知識PEACE MAKERくらいしかないので斎藤一がどういう人か確実ではないんだけど、それでも光源氏とかぶることはそうないのでは。っていうか彼氏にしたいタイプに光源氏って幸せになる気あるか?ことちゃん正気か?みたいな気持ちで見ていた。あっ私のピスメ推しは辰兄です。
・最初「クマのかぶりもので〜♡」っていう理子のセリフを聞いて、えっ…客層に10アクのファンがいるからと言ってそんな身内ネタ出していいの…!?申し訳なくない…?!と思ってしまったのだが違った。ちゃんとマンウィズの伏線だった。ごめんなさい。(先日のワンマンで坂田氏と裕貴が着ぐるみで森のくまさんをやった)
・というか、(゜ω゜)…かぶりものバンドであれば光輝くん、斎藤一という本名だって別に世に出していないのでは…?偽名使わなくてもいいのでは…?とあらすじをまとめながら気付いた。
・あとさくらちゃんが名前を間違えまくるのもちゃんとオチに絡んでいて、はぁ〜世の中の作家さんは伏線を張るのがうまいなぁ〜さすがだなぁ〜とぼんやり口を開けていた。(プロに向かって何をお前は)
<10アクの人々の話>
・マークさんは合間合間に現れてお客さんとも絡んでは布石をつくっていかないといけないし大変だなぁ。根が優しい人が、本来の自分ではない雰囲気でああいう風にぐいぐいと相手に絡みに行くのをやりきるっていうのは、それこそ「人を楽しませたい」っていう優しさなんだろうなぁ〜と、いろいろ見る度に思う。
私劇中隣にマークさんが座るタイミングがあったんですけど、ほんとオタクが気持ち悪い薄ら笑いしかできなくてすみません…。
中盤、秋元(自身の下痢体質の苦しみについて話している)と柏木(自身の同性愛者疑念について話している)でアンジャッシュ状態のやりとりなのめっちゃウケた。
(´ゴДリ)家族にもオープンなのか?! (まДく`)隠してもしょうがないだろ?
・あと今回近くで見て不思議でかわいいなーってなったんですけど、10アクって馬越くん以外みんな面長なのに、マークさんの頭がまぁるくてかわいかったんですよね…。髪のセットか骨格とかの問題なのかなぁ。こういう身体的特徴はテレビで見るだけだと分からないので、現場、しかもこれだけ近い距離でっていうのはいろいろ発見があって楽しいです。
・ゆえに、馬越くんについてはふくらはぎの存在を疑問視するほどの足の細さを改めて体感したわけですがそれに加えて、そこから相対的になのかくるぶしの存在感がすごかった。白のハイソックスの下でものすごい主張があって、えっ…あそこ人面瘡とかないよね…?って世界で五本の指に入るくらい無駄な心配した。
・ドンキのオープニングイベントのときに「推しとこの距離で共にクラッカーを鳴らす人生は想像してなかったな…」って思ったんですけど、推しが他のお客さんからプレゼント受け取っておじぎしてる背面全身を足一歩の距離で見られるのも想像してなかったです。意味が分からない。
・その一方で上半身は非常に筋トレの成果が出てTシャツがぱっつぱつなので(腕がやばい)、えっ…このオタク絶対ただものじゃなくない…?やば…ってちょっと本気で引きかけた。
・あと黒髪岡くん、ほんとめっっっっちゃかっこよかった…っていうか初っぱな見えたのが横顔だったのもあると思うんだけど、ものすごい輪郭がシャープだった…私…私近年あんなに自分のあご認知したことないな…。ほんと今後も黒髪検討していただきたい。
・というか、「柏木」も源氏物語の登場人物にいるんですねwikiるまで全然記憶に引っかからなかった。(私も私で本当に文学部卒なのか)
なんか、光源氏の奥さん寝取ったはいいもののそれで光源氏に睨まれて気に病んで夭逝してしまうらしい。お前!寝取るくらいならそこがんばれよ!!!とかまぁ1000年代の男に言ってもしょうがないですね。
しかしあさ恋の柏木は「源とペアだった理子の気持ちを惹いてしまう」わけなので、ある意味なぞってあるような気がしないでもない。でも夭逝はやめよう?!ピボ振りだって突然の筋道キャプテン余命1ヶ月とかいう話放り込まれたのでそんなとこなぞったら、岡くんは二連続で早死にの役を引き当てることになってしまう…いや違うよキャプテンだって死んでないよ…!
・で、名前というと理系の湯川理子、文系の和泉言栄とキャラに宛て書いたようなものを用意されてるわけですが、そうなると柏木衆也さん、…完全にはじめから衆道を匂わされていたのでは…?!と途中柏木の設定に気付いたときに思った。くっそやられた。
まぁそれこそ1時間のコンパクトなお芝居の中では掘り下げて解決のしようもない話題で、世の中は軽率に泉さん案件*2を繰り出し過ぎでは?と思わないでもなかったのですが、いかんせんそれを岡くんがやるものだからすごい誠実に見えて仕方なかったんですよね…。
ピボ振りで初めてお芝居を見て、岡くんは生来の真面目さがあってあんまり散らかしまくる役は向かないのかもなぁ〜などと非常に勝手なことを考えていたのですが、この度あさ恋を見てなるほど、「であればよりその方向に持っていかせればすごく合うんだなぁ」と思ったのです。設定上30代だし。
あらすじには「どこか様子のおかしい」とは書かれているし、「誠実なキャラ」って役作りによっては同時に「裏がある」こと前提だったりうさんくさいことにもなると思うんですけど(まぁ催眠セミナー参加経験者は…実生活ではお近づきになりたくないなと思いますけど…)、岡くんがやることによって(というか我々(もしくは私)が見ている岡くんの姿があることで)、柏木が全編に渡って真摯な人物に見えたのでした。
あれは薄々自分の嗜好に気付きつついろんな機会でそれを否定しようとしてきたものが(催眠セミナーもその一つであって)、ここで光輝くんに会ってしまったがために…ということなのでしょうか。柏木さんスピンオフください。くださいったらください。
・ただなんていうかね、こういうことをわざわざ言い立てること自体とか解決、とかいう言葉自体がなんなんだっていうものであって。男女の別とか、「私利き足が右なんですよ〜♡」ぐらいどうでもいいものになんないかなって思ったりするんですけど、そうもいかないんでしょうね。
・でもとりあえず、柏木の設定に気付いたとき(勘が鈍いので、光輝くんの頼んだベリーベリーピンクフラッペだかなんだかのかわいい飲み物を一口もらってMAX挙動不審になったときにようやく気付いた)もし家でテレビで見てたんだったら「えぇぇぇぇぇーーーー!えっ…えぇぇぇぇぇぇぇーーー!!!」みたいにめっちゃ叫んでたと思うので、人の目がある場で良かった。人としての節度が保たれた。
・あとこれは伏線というかオタクが勝手に勘ぐってるだけのやつなんですが。まだ観劇していない人たちの間でも、インスタとかで見てクリィミーマミTシャツだ〜って話題に上がってて、馬越くんにTシャツ誰が選んだんですかって聞いたら演出家さんがって教えてくれたんですよ。
で、見に行った翌朝ぐらいにハッッッて気付いたんですけどね?!! そもそもクリィミーマミ自体が(小学生の森沢優が魔法の力で成長してアイドルになるものの)「アイドルとしての自分と素の自分との乖離に悩む」キャラクターなわけですよ、じゃあ実は衣装の時点で、光輝くんが「素を隠したアーティストとしての自分ではなく素の自分を出しても好きになってもらえたら」と思っているキャラクターであることが提示されていたのでは…?!!?!って…!!!!!
いや、あの、オタクは火のないところに煙を立てがちなので考え過ぎである可能性も否めないのですが、もしこれが公式の見解と合ってたら褒めてください。いや公式さんがここを見るとも思えないですが。一瞬踏み入れたとしても途中で引き返されてそう。
・なおかつマミって、優→幼馴染の男の子→マミって好意の矢印が向いてたことが優の悩みの種であったし、なんやかんや経て最終的には魔法の力を返したのち(もともと期間限定)ラストでは優が大きくなった後*3彼と結婚したことも描かれているそうで。「素顔を隠したアイドル」の中でも、婚活をテーマにした今作にはうってつけだったのかなー…など…いや分かんないけど…。
・となるとアラレちゃん帽とかなんだったんだ。単なるアニメ関連として分かりやすいアイコンなのか。っていうかマミとアラレなら髪はピンクじゃなくて紫ではないのか。単純に光輝くんがピンクが好きなのか。
席がお近くだった方が、光輝くんが理子へのプレゼント用に出したフィギュアはセーラームーンで、持っていた水筒がハグプリだと教えてくださったんですが光輝くんのジャンルはいったいなんなんだろう…。
無駄に、(゜ω゜)どうせそこだけ少年ジャンプでフィギュアが武内直子ならかぶりものは冨樫で揃えてほしかったぜ、などと考えたんだけど冨樫作品のかぶりものってなんだ…コエンマの帽子とかか…。*4
・あと高村光太郎…偉大なる詩人であり彫刻家であるというのに、著名な詩集が『道程』であるばっかりにそんな…エロマンガ島みたいな扱いを受け続け… みたいなやるせない気持ちに…(理子が (><)絶対あの人女性経験もないよ!的に嘆いた後に光輝くんが好きな本として『道程』を連呼する)。
覚え書きはまた思い出したら足します。
最後に概要を書くっていうのもおかしな話ですが、ひとまず総括として。
さてさて初めての劇メシでイルコルティーレに行ってきたのでした!
劇メシの案内はこちら→http://lavo3.com
劇メシというのはかいつまんで言えば、レストランでの演劇を見るイベントです。テーマパーク内でステージが常設されたようなところではなく、普段は普通のレストランとして営業されているお店で行なわれるため、観客がいるテーブルの隣席であったり通路であったりが利用されていて演者との距離が非常に近い。先述の通り私マークさんに隣に座られてしまった。ビビる。
整理券番号とテーブルをざっと見るに、キャパは60人弱といったところでしょうか(劇中で使用するテーブルは空けておくので、レストランとしてはもう少し入ると思う。いやでも長机はわりとつめつめだったので、それもまた普段の営業とは違うかもしれぬ…)。イルコルティーレは壁の一面が鏡張りだったので、窮屈な感じは全然なかったです。
ヨーロッパ企画*5も来ていた西鉄ホールが464、キャナル近くのぽんプラザホールが108、先日ガラパ*6の派生ユニット「こわせ貯金箱」公演があっていた唐人町の甘棠館劇場が84とのことなので(私はこの中だとぽんプラザしか入ったことないのですが)、それら会場と比べてもぐっとキャパが少なく、演者と観客の近さ、あるいはそれ以上に、偶然隣り合った観客同士がふとした瞬間に相好を崩しておしゃべりを交わすようになる雰囲気など、場の限られた一期一会感、一体感が大きい現場だったように思います。どっちかというとお客さん同士という後者の方が劇メシの効能かなぁ~とも思う。*7
唯一難点というか気になったのが音響。普通のレストランであるせいかもしれませんが、音響が役者さんの声の半分かそれ以下、ってぐらい小さかったんですね。御厨さんが催眠術みたいに踊る笑いどころも、雷の音で秋元の下痢事情と柏木のときめき事情がクロスするところも、せっかくの音響演出なのに巻き込みづらいな~と思ってしまいました。
あとはやっぱり、没入感みたいなのは薄い。舞台って一面が暗転して、あっちとこっちが分断されて、腹に響くような音に晒されてそうして圧倒的に、殴られるような力の強さであっちの物語を見せつけられるものというか、そういうものっていう感覚があって、なんというかそっちの方が巻き込まれ感は強いなぁというか。
ただ、ただこれは決してどちらが上だ下だと言いたいわけではなくて、たぶん目的が違うんですよね(もちろん延長線上にはあろうけど)。
あくまで劇メシは『劇メシ』というプロジェクト。パンフレットにも「【演劇】をもっと身近に」「演劇にあまり馴染みがない方にも」とあるように、間口を広げる場として設けられているんだろうなと感じました。いや私も担当や好きな子が出ているものぐらいしか行ってないんで、観劇ベテランとかじゃ全然ないし上目線みたいになってたら大変申し訳ないんですけど…。
そもそもが舞台ってハードルが高いんですよね。安くないお金出して、決められた時間に出かけて3時間ぐらい拘束されて、好みかどうか確証はなくて、見てる側もそれだけでめっちゃ体力使うし。
それでも、舞台は楽しい。
演劇は楽しいよ。入口においでよ。
エンターテインメント劇メシ、楽しかったです!またどうかご来福を~~~
*1:振り向いて私の『ピボットターン』--10神ACTOR第4回本公演『ピボットターンで振り向いて』を振り返って - 一度や二度の悲しみじゃなくて http://bookmared.hatenablog.com/entry/2018/01/30/075230
*2:ピボ振りで (馬∀越*」ボーイズラブ?!ボーイズラブ私大好き! という泉さんのセリフがあったために男性同士の恋愛を指す語として勝手に使っている
*3:ただし、容姿はマミとは違って、優がそのまま成長したようなものだとのこと
*4:セーラームーンの武内直子氏とHUNTER×HUNTERや幽々白書などの冨樫氏はご夫婦です
*5:10アク本公演『ピボットターンで振り向いて』の脚本を担当した石田剛太さん所属の劇団
*6:万能グローブ ガラパゴスダイナモス。去年の5月公演『星降る夜になったら』に馬越くんが出演しています。私は…ハマる前だけどね…!
*7:あと今泉公園前にある天狼院書店という、喫茶スペースも併設していろいろワークショップとかをやったりしている本屋さんでのお芝居を見たことがあるんですが、あれもキャパは30人ほどで規模は大きくはないんですが舞台スペースと客席は分けられていたので(http://tenro-in.com/fukuten/22611 わりとぎりぎりにいったら最前ドセンのソファで見ることになった覚え…)、劇メシはやはりちょっと特殊だな~という感じでした
ghoti
ちゃぷん、と沈みこんでしまえば微かに浮力を感じる。そこが狭い浴槽であってもどこか、頼りどころもなく漂っているように思えた。
目を開くのは怖いので薄く閉じたままでいる。変に屈折するのか光がちかちかと目蓋の裏で明滅した。こうしていると、催眠療法みたいだ、と思う。音も確かには聞こえずに浮ついたようで、それでも、御し得ない息の吸い吐きが次第に追い立てるように鼓動を急かす。輪郭のない安穏と遠くから鳴らし立てるぼやりとした切迫感とが、同時に膜の向こうにあるようだった。考えているような、考えていないようなあの感覚だ。賽銭箱の前に立ったときのような、墓参りでしゃがみこんだときのような、宛てどないあの。
俺は、こうやって、皮膚がどんどん滲むように変わっていっただろうか。自分で道を90度も曲がるように走っていれば打ち立てた分岐点はそこにあったと振り返ることもできるだろうが。じわりじわりと、浸るように、馴染むように俺が変わっていく。流されたままなんて自負のないことまでは言わないが、それでも、日々少しずつ、じわりと、じわりと何かが俺に滑り込む。滲み込んだものは不可逆で、境目がなくて、どこまでが確かに元の俺だったかなんてもう分からない。それを、怖い、と思えるほど子どもではなかったし、世のギフトだと思えるほど大人でもなかった。
ただ、ただ不思議なのだ。こうやって浴槽の中に居続けていると、体と頭が離れていくような気がする。周りの波が滲み込んで変わっていく自分と、それをどこかで他人のように眺めて、息を吸い吐きしている自分と。
帰れる? 帰れるだろうか? 自分の体に。いつか、乖離した自分は置き去りにして、変わりきった体ばかりが、どこか遠くで動いていって
「ばん!いつまで浸かっとうとかて!」
障壁のあった世界に、音が割り込んだ。びしゃん!という家主らしい躊躇のないそれと波と咳とが一気に押し寄せた。げほ、ごほと顔を真っ赤にして息を吸う俺に、ユエが途端に叱りを解く。
「おま、また潜っとったとね? お前が来るけんて貧乏暮らしが風呂溜めてやりようのに、出禁にするぞ。浴禁」
洗い場にしゃがみこみ、よく分からない言葉を勝手に作りながら年上の大将らしく諌める横で、俺は咳混じりに笑ってしまう。
「笑い事でもなかろうが?」
「いやー、帰ってきたなと思って。体が重ぉい、はは、ははは」
「そらいっぱい中身の詰まった頭で良かったね」
互いに軽口を流して、そうして立ち上がる。
「俺ねぇユエさん、俺魚にはなれんわ」
「四季入れば良かっちゃない」
「人間がいいー」
一気に重力のかかった世界で笑う。あっさりと視界がすっきりした気がして、からからと笑った。
たまの遊びはもうおしまい。
まぁこの世界で、空気背負って生きますかね。