語れ読み取れ主なきコトを
拾得物の管理の行きがかり上、届け出た人について「氏名等語らずの男」という言葉を使うらしい。「氏名等語らず」「氏名等語らずの男性」とパターンはあるらしく*1そちらだと幾分印象も変わりはするが、とかく「氏名等語らずの男」、という呼び名がやたらとものものしくて面白かった。一気に何かの物語的な雰囲気を醸してしまう。おそらくは「いえ!わたくしなど!名乗る程の者では!ハッハッハ!ハーッハッハッハッハ!」と言って去るようなものではなく、のちのちの権利の処理上尋ねられて「いや、届けただけなんで、…名前までは、…ちょっと…」っていうような感じなのを、便宜上一元化してつけているんだろうけども。おおよそこういったものは、日常の中の些末の交差である。
10神SS/AW ~主にTシャツコレクション~
折に触れ声を上げてきましたが、
「10神ACTORさん揃いの衣装すぐつくりますよね問題」
そうして
私はそれが好きという事実。
というわけで話はループのように繰り返しますが、彼らのこれまでのお洋服と共に番組を振り返ってみたいと思います 。丁寧な導入など。知らぬ。
~Tシャツ・すぐやる課部門~
そう、つまりは私がめっちゃ好きなやつです。 しかし今回頭から辿って様子を手元に控えていってみてたんですけど、オリジナル軽率Tシャツシリーズ(褒めてる)が増え始めたのってわりと、ちょうど私が見始めた頃*1 からだったんですね…なるほど運命…(?)。
とはいえ始祖はここからか。
Season4.0#23~25、サカタケント企画「NO MONEY NO DENPA旅」の代名詞たるTシャツ。 財布と携帯を没収されたヒッチハイク旅ということもあってか非常に見つけてもらいやすそうな黄色と黒の配色がイチオシ。
同企画第2弾(5.0#18~20) でもウィンドブレーカーが誕生している。
なおウィンドブレーカーはのちに『負けんな!!!』 ジャケット撮影時普通に防寒具としても活躍したのだが、 代名詞として認識され過ぎていたため写真が上がるや否やファンの間で「えっ…サカタケントまた連れ去られた…?」 という誤解が巻き起こった。あと「ここはどこですか?」の答えは鹿児島県指宿市です。九州縦断。
いやーーーところで繰り返しますけど、ウィンドブレーカーにも入っているこの10神のロゴほんとかわいいですよね! 好き。いやー好き。
いっとき缶バッジをひそかに携帯にぶらさげてたんですけど、カバーしてても結局裏の安全ピンがかちゃかちゃするので外してしまった。いい感じの付け方指南お待ちしてます。
いやしかし特注という意味ではこっちが先かもしれない(4.0#15)。マルチ。というか2件めにして既にTシャツではない。
あとこういうの見ると、やはり10アク内ではすけすけだけが殊更にシンメめいていたのだな…という気もする(10アク・ コンビはいてもシンメはいない論)。脚の飾りがさ…ちゃんとシンメトリーめいてるじゃないですか…。
突如役職が設定された「人の動画でMVをつくる!」企画(6. 0#8)。文字に違いがあるとはいえ、用意は10人中4人分なのでまだまだ序の口である。
このときの楽曲『ひたむきチェイサー』は後日、 メガネスーツバージョンでも披露されて定着し(6.0#18)、 ライブでもひたチェのターンになるとどこかしらのポケットからスッ…とメガネが取り出される。
誰か1人は曲中に落とすなどする。
ところで市民会館ワンマンでタイトル『君と叶えたい夢がある』 にもかけて「夢みる伊達メガネ」 なる面白おしゃれアイテムがグッズ販売されたのにさしてMCでの販促も曲前の振りもなかったのは!どういうことなんだい!(なんなら1日目はど頭がひたチェだったので…) そういうところ、ガツガツ売っていこうぜ。
閑話休題。
ちなみに制作陣TシャツはSeason7. 0で復活したかと思いきやよく見ると長袖の別物である(#17、20)。 なんでや。
あとこの間に松島くんは監督業をリストラされた。 役者としてめっちゃ生き生きしてるからいいと思うよ…!
クロマキーで疲弊した松島氏。
10人お揃いが出てきました。2→4→10、 Tシャツが着実にステップアップしてる。
6.0#13、 ワンフロアごとに当たりを引き続けFBS社屋を10階まで上がりきる、「10連続で二択成功チャレンジ!」。
墨汁ヘルメットの攻防が非常に好きですね。
栞、福大、好き。
だいたい墨に突貫させられる最年少。
しかし顔が防水加工。
シンプルな「10神ACTOR」 グループ名ロゴだからといってその後汎用的に使うわけでもない辺り、そして好き。
6.0#14。\10神ACTOR横断部ぅーーー!!!/ しかしてその活動内容は、 福岡県内の一級河川をスワンボートで渡りきることである*2。スワンは佐賀から借りてきた。
いやちょっと待って今気付いたけど、このTシャツ、前回のものに手を加えたのでは?即再利用していたのでは?あれっ?
私事ですが私が初めて番組を見た回です。
6.0#24、発現確率○○○分の1のお菓子のレアリティを探す企画。 コアラのマーチを一生分くらい食べました。 その果てに求めていた盲腸コアラが出たときに、ちゃんとテーブルに箱を置いてから飛び跳ねる馬越くんis好き。
カロリーを摂りすぎても岡隊長とキャサリンがなんとかしてくれます。
キャサリンは先ほどの防水加工最年少です。
合間に見え隠れする、燦然とかけられた揃いの白シャツ。 結構これでライブすることも多い。
学園祭とか。
厳密にはつくったわけではなかろうがこれも単発仕様としか言えないので一緒に、揃いのポロシャツ。 ボウリングってなんでポロシャツなんでしょうね。 紳士淑女のスポーツなんだろうか。 ゴルフ企画とかあったら復活するかもしれない。 あとたぶんテニスとか。(7.0#8)
8.0#10、11、犬王様放浪記、もとい10神サファリ。 お仲間がいなくて寂しい犬王様のためにどんたくで人が溢れる街中から動物ファッションを見つけるのです下々の者。
パンダ発見。
アルパカ発見。
Tシャツ課、ついに揃いのようで10人分キャラクター違いのシリーズを生み出す。なんなら物々交換用に複数枚作り出したため、なんともリッチである。ちゃんと絵師マークさんにはデザイン料が還元されているだろうか 。アザラシの黒目がかわいい。街にはいなかったけど。
基本的に、他揃い衣装を見ると誰がどれを着るとは決まっていないような所感があるのだけれど、この回は北田くんだけ予め大きめシャツが決められていた。
ハムスター出ましたー。
犬王様の出自は神伝説祭りinマカオを見てね!!!ワンワーン!!!(7.0#11、12)
8.0#25、そうして部門最後を飾る。
平成3年から11年生まれまでを擁する彼らが纏うは「平成生まれ 平成育ちTシャツ」。堂々たれ。堂々たれ。
これからの時代を支えるのは、きっと! 彼らが!!!
という辺りがメインではあったのですがこの際なのでまだまだ続けておきます。
~運動着ヒストリー~
降車してから乗車駅まで走り元の電車に乗ることを目指す、 電車とGO企画。陸上部的ユニフォームなど着ております。
第三弾、VS南阿蘇鉄道編は熊本の震災後の回ですが(5.0#12、13)、 次第にゴール近くで応援してくれる方々が増えるのを見ると泣いてしまう…。
直接の益ではない、助力でもない、言ってしまえば「たかが」 エンタテインメントであるものがそれでもどれだけ人々に喜びと活力を与えるかという話は10アク絡みブログの当初からしていて、 同じく熊本復興支援であったNHKコンサート(171209放送)に呼ばれていたときなんかも、 勝手ながらものすごく誇らしいような気持ちになった。…まぁ… 好きですね…。
運動会は通算4回(3.0#5、19、4.0#10、7.0#23)。 春の運動会と言いながら2月に開催したり激痛足つぼサンダルがレギュラーメンバーだったり大変です。
本当に我々が生活しているその傍らにいるのだなぁと思って好きな カット。
白組なのに真っ赤なドレス!!!
マイケルより斜め。
軽量型活動着もあるよ。虫取りにバスケに天草に存外多岐に活躍。(6.0#25、7.0#4、8.0#24)
ジャージコレクション(7.0#10、6.0#9、7.0#9)。青もかなり鮮やかだけどいよいよオレンジとは。 例えば山中ではぐれないよう目立たせるなどでもなく、これは闇鍋を食べるためのジャージである。闇鍋はスポーツ。
実際各メンバーのキャラがすごく出ているので、闇鍋回は未見の方にはぜひご視聴いただきたいところ。
水着もあるよ。お揃い。(4.0#21)
翌週の無人島はお揃いじゃない。(4.0#22)
ホークスユニも着ました。(4.0#14)
~制服コレクション~
坂田氏はブレザーであれという不文律。
「なん見よんかちゃきさんコラァ」
北九州っぽさのかたまり。*3
しかし「お前どこ中?」企画、 ローカル感に満ち満ちて地元が中学校区単位でバレるので(゜д゜ )いいのだろうか…と思いつつ、その地域で生まれ育った根付きが垣間見えるので非常に良い。 湯川中(小倉南区)が出たときのマークさん(菊陵中出身/ 小倉北区、ただし越境通学)の惜しがるリアクションに松島くん( 春吉中出身/福岡市南区)が「あっ近いんや」って言うところとか好き。
方言、景色、行く先、 ちょっとでも照準がずれたらピンとこないような地元感を多層的に 重ねて、地縁グループは成り立っている。
最後に番組ユニフォーム部門です。
☆ツナギ白
Season2.0、 要はオーディションが終わって本格的に冠番組となった当初からSeason4.0まで。
☆オーバーオール
ここから名札がとれました。
Season5. 0のユニフォームと見せかけて登場は25回中おそらく3回ほどのみのレアアイテム。このシーズンを最後に澤亮が卒業したので、 刷新するためにもオーバーオールとは早いお別れになったのだろうなぁ、という感じでしょうか。 いやそれにしたってそもそもレアでは。
だぼだぼしてかわいい。そうして差異からお揃いへ回帰する。
☆シャツ(青)
Season6.0~最終8.0までの基本ユニフォーム。 ちょっと褪せた青が混在しているがたぶんメンバーに固定しているわけではない。
これにて終了です。お疲れ様でした!
****
9月、こういうブログ書ーこう、とへらへら考えていたらにわかに番組終了の煙が立ち、 あれよという間にほんとうに終わってしまいました。9月半ば、編成期の番組表が載る最新のテレビ誌をあさっては確認し、FBSのHPを更新しては確認し、とだいぶ必死にわたわたしてましたね…。
10月末に平日深夜帯から土曜午前に大移動して新番組稼働とは相成りましたが*4、期せずして今回は深夜帯『10神ACTOR』 シリーズ総まとめのような感覚ともなりました。
正確な経緯や施策方針がいちオタクに分かるわけもないのですが(私は2ch的なタレこみ合いを見たいわけではないので事情通の方がいたとしても情報は結構です)、当初から番組を制作してきたスタッフさんたちとは別れての番組となるようで新しいものもどんな色になるかまだ分からないし、今秋の九州ツアー、またじわじわと増やされつつある東京絡みのお仕事といったように、少しずつ、少しずつ状勢は変わっているようです。
以前『ピボットターンは振り向かない』という記事で、変化は必然で不可避で、誰が悪くもないけどいつか自分に弾性がないばかりに離れてしまう未来はどうしたって来るかもしれない、というようなことを書き連ねて。 その不安は何かを好きでいる限り表裏一体で常にあって消えたわけではないんだけれども、それでも今の段階では、あぁ、この攻勢についていきたいなぁ、彼らのことが好きだなぁ、という気持ちでいるところです。えぇえぇ好きですね!!! みんなに知ってほしいし好きになってほしいしとかくね!!! 知らしめたいですね!!!!!
奇しくも今夏放映中でどハマりしていた『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』というアニメの劇中歌で「変化は悲劇を連れてくる」という歌詞があったのですが(歌の背景はおもっくそネタバレになるので言えない。見ろ。 1話はYoutubeで見れるから見ろ。話はそれからだ)、それを「CHANGE IS CHANCE」で打破していきたい。
「大きくなるって何なのか」。 ピボ振りのときに迷子になった私を、ワンマンのときには「この多幸感が、総量の天井が決まっているのではなくてこの濃度のまま一度により多くの人に手渡されるのならその未来こそが希望なのではないか?」と、人狼TLPTのときには「大きい、 それは広さ以上に高さのことなんだ、他の評価でない、 自分の中の自信の積み重ねのことなんだ」 と彼らは目を開かせてくれた。 まぁ気持ちの悪いオタクが勝手に気付いた気になっているだけなのですが、幸せを増産してきっとこの先には楽しいことが待っている。 そういう展望を掲げて、彼らに並走していきたいと思っています。
ひとまず皆々様、本当にお疲れ様でした。
こんなところまで読まれた方がそもそもね!!!
この手で
「…おー、お、お、じ」
液晶の中の文字を読み上げて顔をしかめる。気だるくもう片腕を上げて指を画面に押し付けようとしたところで、目当てにしていたものと違うことに気付いて読み返した。ああ、こっちだ。そうそ、しゅくふ。もう余計に伝わらなくないか。それでもまぁ、一応と、もう一度ガラス板を触る。切りそこねた爪が当たってカツンと音を立てる。コピーができた表示が浮かんだのを確認して、俺はスマホを掲げていた腕を重力に任せて落とした。
「カズちゃん、おったとね。えらいだれとんしゃあ」
部屋から出てきたばあちゃんが、からかうように、ソファに身を投げ出した俺を見下ろす。学校が忙しいのか、と問うから、呻くように苦情を述べた。
「名前の由来? カズちゃんちっちゃいときにやったやない」
「そーたい。なんでまた今頃せないかんか…」
基礎演習の初回プレゼンテーマだ。同級生の顔を覚えるためとか、中身云々より形式を整えさせるためとか手始めっぽい理由はあるけれど、それなりにがんばって今の大学にすべりこんだ身としては拍子抜けもする。小学生以来の課題は何年となく経ったとしてそう大したブラッシュアップも見込めず、俺が投げやりにとろうとしたのはとりあえず単語をそれらしくしてみること程度だった。
大叔父、改め曾祖叔父。そうそしゅくふ。絶対伝わらん。いい風に言えばいいってわけじゃない。
「俺の名前、そ、…ひいばあちゃんの弟からやろ」
「おじちゃんねぇ。若くに知覧から行ってしまって、ばあちゃんも会ったことなかったけど」
うちはずっと女の子ばっかりやったけん、カズちゃんが生まれたときに、とばあちゃんが続ける。ひいばあちゃんは、おじちゃんが、弟が大事やったけんねぇ。よう寂しかぁって顔ばしとったよ。
「そんで。忙しくてからみっちゃんとも会っとらんとね」
そうして、しんみりとした話の後に悪そうな顔でそんなことを言うものだから、俺は不意打ちのようにして盛大に咳き込んだ。
「なん、なんねそげんこと!」
「んーんー。前んごとうちに来んくなったけん。学校が別ては言いよったし、みっちゃんが忙しかとかね」
「はぁ、もうしゃーしか…!」
子どものようにソファでそっぽをむいてひっくり返ると、ばあちゃんは更に笑って、はぁー支度だ、と台所へ行ってしまった。
耳の奥に差しこまれる音の向こうにざわめきが聞こえる。日曜の商業施設は行き交う人が多く、定員ぎりぎりで隅に滑り込んだエレベーターの中でなんとか、腹の辺りのボタンを押した。それでも、壁に身体を預けて一息つけばもう一度歌が流れ込みだす。好きな歌。真っ直ぐな声が好きで、最近はずっとそればかり聞いていた。唇だけで、それを追っていく。そのうちに、次第に引く波のように人が降り続けて箱は空っぽになる。光る番号は一つだけ。あぁ、歌が好きだなぁ、この歌が、この声が、そうしていつしか大きく口を開いて無意識のうちに俺の声帯が鳴る。背後で初めてガサッ、と気配がした。イヤホンを引っこ抜いて振り向く。そこには、もう誰もいないと思っていた場所には、面食らったような顔をしてみちがいたのだ。
結果として突然歌い出してしまった俺と、人波で奥に押し流されたまま気圧されて誰に自分のボタンを頼むこともできなかったみち(最後に俺が押していたとはいえ)とは、どうにも互いにまぬけな出会いで、同じ階で降りて別れてなお、街中で会い、電車で会い、果ては同じ高校の、何百分の一かの同級生だったことをしばらくのちに知ることになる。俺たちは降参するみたいに笑って、そうして、恋人になった。
何日、会っていないだろう。連絡はとっているけれど、やりとりはゆっくりになった。別の場所へと進学した俺とみちは、決して会えない距離ではないけれど、少しずつ、ちょっとずつずれていく。行き交う時間が、かかわる人々が、眺める景色が。俺たちは、あんな何メートルか四方の箱から、それともたった1つに限られた学校っていう建物から出てしまったら、こんなに、すぐにも繋ぎ目をなくしてしまうんだろうか。
変化の少なかった俺の方がわずらわせてはいけないなんて考え出すと、電話のタイミングを合わせさせるとか返事を待ってるんだって言うことができなかった。かろうじて間をもたせるように、短い言葉と曖昧なスタンプと、言いそびれたことばかりが積み重なっていく。おはよう。おやすみ。気を付けて。がんばるよ。行ってきます。…好きだよ。みち。
「カズちゃん。行ってきたらどうね」
再度、声が降った。
「え」
その段になって、うずくまったソファから顔を上げるとちょうどばあちゃんがかがんで俺に目線を近くしたときだった。腕をつっぱって、身体を起こす。笑われる。
「そげんのとばっかにらめっこせんで、難しいことば考えんで」
握ったままのスマホを押さえて諌められるとき、ばあちゃんの指先が触れた。かさりとしていた。軽い手。きっと幼い頃にも手を繋いだことなんてあるのに、初めてその感触の生々しさを知ったようにおののいた。…それぞれが、年を重ねたのだ。翻って自分のかたさを辿るように、俺は知らずのうちギュッと拳を結ぶ。
「どげんでも言わな分からんし、会わんと分からんし。みっちゃんに、今までみたいにいっぱい会いたいとよって言ってこな」
会われんままになった人には、どげん思ったっちゃもうなんも言えんとよ。
立ち上がり、挨拶を残して駆け出す。
俺は今、その瞬間、思い描いてしまったのだ。
みちのやわらかい手に触れて、そうして、いつしか互いに乾いた手までも握り締め合うことができたらいいのにという、ずっと先の未来を。
『…一也くん?』
着信を鳴らす。機械を隔ててみちの声がする。なんだ。簡単じゃないか。後はどうにでもなれよ。
「今から行くけん。待っとって」
この手で/サカタケント
ライナーノーツなるもの2018
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白か黒か真か虚辞か俺は誰だ人や否や――10神ACTOR×人狼TLPT S MISSIONに依るモノローグ
幼い子どもは、今ここにあるものについて表す術しか知らないのだという。
彼らは成長とともに、目の前の実際ではない昨日の記憶を、将来の予測を、離れた場所のことを、自由な願望を話す力を身につけていく。それは今や日常的に言葉のやりとりを行なう我々にとっては当たり前にすぎて、もはやその目覚ましさを意識することはないのかもしれない。
だがここで足を止める。
言葉をあやつる能力、それが次第に"今" "ここ"を離れていくことはつまり、"現実を離れていく"ことさえも示しうる。
嘘を吐く。それは言語能力の発達した行く末にある。であればなるほど、人狼、人の姿を借り言葉を駆る彼らの武器には確かに、「嘘」があったのだ。
*
8月に10神ACTORが挑んだ『人狼TLPT』は言葉をあやつり進められるゲーム、その舞台化である。
元々セブンスキャッスルというユニットが主催として制作してきたもので、今回のようにシステムを貸し出し他団体が公演を行なう場合には『― S(シスタ)』という付記がなされている。*1
『人狼』に関しては私などが言うまでもないのだろう。市井での現実のプレイのみならず、このゲームを介することでキャラクター創作が為される場もあれば*2、題材として映像化さえが既に果たされている。
(であればこそタイトルのダッシュ以下は、そこまで膾炙したものだろうと私は私のはまったタイミングでしかまだ知らないんですよ、と言うための免罪符である)
(なのでこう、今更分かりきったことを大発見のように言っていても放っておいてほしいけどいやしかし本家TLPT及びファンの方に何か失礼がありましたら…それは言ってください…)
ルール詳述は上記サイトに任せるとして、主題はこうだ。
「群衆の中に紛れ込み夜毎カニバリズムを行なう人狼を、人は駆逐できるかあるいは喰いちぎられてお終いか?」と。
みな言うことは同じである。「俺は人間だ」。人は真実ゆえ、人狼は嘘ゆえにその言葉を吐き出す。なぁ、目の前の俺が信じたい相手は本当に人なのか?なぁ、俺たちが選んで殺してしまったもう口を開くことのないあいつは本当に、本当に人ではないものだったか?俺はあいつを信じるからこそ闘う、なぁ、なぁあと誰を殺せば俺は生きてここを出られる―― 昼に得票の多かった"疑わしき"が処刑され夜に人狼の選ぶ"排除すべき"が喰われ死体が日々重なっていく中で、疑心に苛まれ他を憎悪し、それでもなお一縷の希望を掲げ必死に頭を巡らす。生き抜こうとする。生死を懸けた攻防、その心理を群像の中で描けるこの題材がプレイヤーという以上に創作勢にとっても魅力的なのは、頷けるところである。
そうしてこの舞台で重ねて特筆すべきは『TLPT』という部分にある。
The Live Playing Theater、そう冠を受けた彼らは、
舞台設定と基本のキャラクターが冒頭の芝居で提示されるが、各回誰が人で誰が人狼かという立ち位置を引き当てるのは公演15分前という直前も直前である。かつ、それは周囲には伏せられたままだ。
結託した人狼同士、また人側の異能者である「予言者」(最初の段階で「人狼でない者」を1人知っている)という例外はあるが、それ以外の演者は、自分以外に確かなことを何一つ知らないまま舞台に足を踏み入れる。
「今をおいて他にない、たった一度の物語」と銘打たれたそれを初めて体感するのは客席の我々だけではない。幕が開くまでどころではない、それがどういう果てになるのかなど、終幕に至る瞬間まで誰の一人も知らないのだ。
ちなみに「改めて自己紹介をしましょう」というくだりからアドリブ部分が始まるのだが、ここで各々のキャラクター設定も毎回異なるものが付加され(というかもはやぶっこまれ)、回によって別のキャラが兄弟や知己同士であったり、しまいには生体兵器とかチャリンコ暴走族とかマイケル・チャクソンの弟(原文ママ)とか福岡を拠点に九州で歌ダンス芝居バラエティとマルチに活動中の10人組エンタテインメント集団10神ACTORのスタイル顔頭三拍子揃った松島勇之介のファンがいたりする事態になる。
その点についても事前に相談して練ったものではないので、ふっかける方はやりたい放題だろうが受ける方は結構たまったもんではない。演者には面白いとおそろしいとどちらが凌駕するのだろう…。
なおこの舞台には見ている"外側"からのゲーム要素として、3日目昼の処刑が終わり夜を過ごす段階で人狼、もしくはすべての役職を当てると記念品がもらえるようになっている。
総員13のうち、役職は以下の通り。
◆人狼 (3)
毎晩1人ずつ人を喰う。"疑わしき"として処刑に追いやられた者を見捨てることはあれど仲間割れはしないので、人狼が人狼を襲うということは無い。かくして、夜が明けたときに死んでいた者は人だと分かることになる。
◆狂陣(1)
人であるが人狼に加担。逆に言えば嘘を吐きながらも人であるので、下記の各異能者によっても黒判定されない厄介さがある。ただし、人狼と狂陣は互いを知らないので、運悪く狂陣が喰われることはありうる。
◆狩人(1)
人側の異能者。夜に誰か1名を守ることができ、それが人狼が選んだ者とかちあった場合は誰も死なずに済む(ただ私が観劇した範囲では守れたためしが…ない…)。その性質ゆえに、人を減らしたい人狼からは真っ先に狙われる対象となるため、能力持ちのカミングアウトはすべきではない。言っておくがこれは前フリだ。
◆予言者(1)
人側の異能者。夜毎1名ずつ、生存者について「人狼か人狼でないか」を判定できる。
◆霊媒師(1)
人側の異能者。処刑された死者について「人狼か人狼でないか」を判定できる。
…残り6人がまっさらな人というわけである。
発言の影響力から、人狼及び狂陣は特に予言者、霊媒師を騙ることがある。能力をカミングアウトしたのは、自らの命を曝して人を救おうとする「人」か?それともその振りをした「人狼」なのか?いや、こうも怒りに、悲痛に、理知に熱を持ち訴えるのは人だからこそではないのか?奴が指し示す先は本当に人か、人狼か、いや、いいや、否、――示し合わせ無しの舞台は混迷を極める。
また処刑直後には「幽霊タイム」という、そこまでに死んだ面子が集まり役職のバラしとフリートークを行なうメタ的な時間がある。
「1昼処刑→幽霊タイム→1夜襲撃、2昼処刑→幽霊タイム→2夜襲撃、3昼処刑→幽霊タイム+解答用紙回収」ということで、5名の犠牲者が出たところで客席は予想を確定させなければならないのだが、回収前に役職をバラしてもらえるのは最初の3名のみである。後半2名のバラしは用紙がまきあげられた後なので、早けりゃこの段階で自分の不正解にしょんぼりすることにね!なるんだね!!!
ちなみに私は4回見に行って1回も当たらなかった*3。洞察力と論理構成力に欠ける…。
「これが真ならば、偽ならば」という点から枝分かれした可能性を頭の中だけで整理し検証するというのは、なかなか骨の折れる作業である。
さて。
MISSION、と付加されたこの人狼TLPTは、殺し屋の集う裏社会が舞台背景となっている。*4
人狼や異能に至った経緯もドラッグによるものとされており、VILLAGE(=集落の中に人狼が潜む基底路線)からは外れているため、キャラクターたちも一般人以上に常に死線に身を晒してきたことが伺える設定である。スーツ、銃、死生観、今に影を落とすこれまでの足跡、それゆえに抱え持つ一縷の未来。そういったものがこのドラマをモノクロに彩る。いやオタク好きだよそういうの。*5
『EPISODE 1 "FIRST CONTACT"』と名付けられたこの公演のあらすじは以下の通りである。
C7ドラッグ。
それは「人狼ドラッグ」と「対人狼ドラッグ」からなる合衆国政府が秘密裏に開発した軍事用ドラッグユニット。
「人狼ドラッグ」は月が昇る間、人を不死身にする。
そのドラッグが福岡を経由し、明日中国に運ばれる。
売買価格は1ユニット350億。
そのC7を強奪すべく、選りすぐりのメンバーが招集される。彼らは普段、表社会で生きるが、裏では殺しも請け負う悪党達である。
強奪は無事成功する。
しかし、
「人狼ドラッグは俺たちが頂いた。」
翌日、そう書かれたメモと共に使用済みの人狼ドラッグ3本が発見される。
そして今、13人の中に紛れた人狼達と人間との生死を賭けた戦いが始まろうとしている……。
シスタ、言うなれば本家TLPTのスピンオフに当たるような立ち位置であるため、「この作品のみでもお楽しみいただけますがぜひ本編も」といったところで、TLPTシリーズにおいて暗躍する女ナナの存在がここでもほのめかされたり、あるいはTLPT本公演に立ってきたキャラクターであるランスらの登壇であったりというのは、おそらくはシリーズの広がりとして本家ファンにとってもおいしいものに違いない。
また、そういった仕組みゆえに、今回の『FIRST CONTACT』では詳細な言及がなかったものであっても、本家を掘り下げると新たな知見が得られるというものもある。C7ユニットについてなど最たるもので、過去のMISSION公演において配布された手記から、その概要を窺い知ることができる。*6
ちなみに手っ取り早くすくい上げれば、
そのドラッグはたとえばLSDのような『五感に影響を与える』だけではなく、いわゆる『第六感』を一時的に開放・強化するものだった。服用することにより『人間のそれをはるかに超える能力を得る』『五感では知りえない情報を知る』ことができる
といったことが書かれ、予言者などの異能の裏付けがされている。
与えられる1。それはこの舞台の全であると同時に10に基づく欠片である。
これは上記のような本家ースピンオフといった関係から言えることだが、私個人の感想を言えば、それだけではない。
繰り返すようにTLPTの要は「今をおいて他にない、たった一度の物語」と銘打った脚本なしのアドリブ芝居に拠るのだが、その日々の、毎回のズレが見ている私に奇異を感じさせたのだ。
ナナに召集されC7ユニットの強奪に乗り出すメンバー。成功から一転、人狼ドラッグの服用者が出たことで互いを疑い合うデスゲームが始まる。その都度役割は違う。また違う者が死ぬ。何度めかの朝に人か、人狼か、どちらかが勝利宣言を下し幕は降り、――そうしてまた初めから物語が繰り返される。それはまるで、
私達はそれを外から見る。別の世界線の彼らを知っている。まぁ演劇というのは公演を重ねる反復活動ではあるしちょっとした日替わり要素があるのはよくあることだが、至る結末が全く違うという舞台を見るというのは初めての経験だった*7。にもかかわらずだ。明くる日の舞台はまた、もう一度、何度でも、そう繰り返し何食わぬ顔で幕を開ける。これが奇異でなくなんだというのか。
単純に、予想外に早く死んでしまってそのキャラの伏線回収が不十分に終わる、ということもあるし、異なる回の設定をすりあわせ、あるいは繋げて捉え考え込んでしまうこともある。あるいは、「ナナがこのループを楽しんでいるのだということこそ、この舞台の大枠なのかもしれない」などと思い至った日さえある。ひたすらに、1の後ろに広がる余白への興味が尽きない舞台だったのだ。これは、思わぬ副産物だった。
合わせて、『人狼TLPT』という題目ではあるが人狼というのは舞台装置であり、物語性は専ら人間の側にあるのだなということを感じた。
人狼は嘘を吐く。彼らは人を減らして自分たちと同数以下にまですれば勝利となるのだが、それこそが目的でありそこに情緒はない。人肉の味わいや可哀想に騙されていく人への快楽はあるだろうが、嘘を吐いて吐いて吐いて心で嘲笑っていられればそれで役割は果たしている。
生存者には役職を秘せられたまま進めるというゲーム進行上の都合でもあるが、本当に人狼である者が処刑されるに至っても、彼らはベラベラとネタばらしをしたりはしない。銃を突きつけられながら最後の最後まで吐くのだ。「俺は人間だ!信じてくれ!」という嘘を。
一方で人だ。殺し屋稼業とはいえ、謂れのない生殺与奪を望むわけではない。胸裏に抱える希望、ここに来て燃え出した信頼、自分を弄ぶ存在への怒り、死を見据えた諦念、奈落に落とされるような悲痛、人と信じた者が殺されることへの激昂――そういったものが彼らから溢れ出る。まっさらな人ですらそうなのだから、異能者においては尚だった。
そもそもは狩人だった。上述の通り、狩人は誰かを守ることのできる力があるが劇中往々にしてそれを果たせない。また、加えて彼には「自分を守ることはできない」というルールが課せられているのだ。
初日を見た後、私の推しの馬越くんが演じたヴァルシュが3、7公演めにも狩人を引き、そして早いうちに喰われることとなったのを知った。そのときの呟きがこれだった。
ところでヴァルシュちゃんはまた狩人でまた死んじゃったのですか 何回「オレがみんなを守るから誰かオレを守ってくれ」に陥ってしまうのか
https://twitter.com/bookmared/status/1027189659405758465
ゲームシステムとしてはグッジョブが起こる、で終わるけど、狩人としての夜ってどう過ごすことになるんだろ 守ると決めた人の部屋の前で座り込んで、眠れもせず神経と身を削って、呼吸も浅くて、そうして闇から襲ってきた最大3人の人狼と戦うのだろうか
https://twitter.com/bookmared/status/1027190982289186816
つらくない?数夜かけて誰も彼もを守りきれずに、身を心を削って、それでもって混濁してそうして意識を手放してしまいそうになったときに獣臭い息遣いに目を開いてさ やっとだ、やっと、俺は誰かを守れる、って思った瞬間に「何言ってんだ。お前だよ」って笑って喰われるの
https://twitter.com/bookmared/status/1027190982289186816
公演序盤は狩人は幻覚を使って対象を守るんだというのを聞き逃していたせいで、部屋の前で寝ずの番をするみたいなイメージで言ってしまっていたのだけど。それでも、力を付加されながらも目の前で命を奪われていく無力感はどれだけだろうか。
あるいは前楽昼、10公演めのテディ。彼は霊媒師だったのだが、その回人狼であったグランもまた霊媒師を騙り、それぞれが別の主張をぶつけていた。我々外の人間は、かの幽霊タイムによりテディの死者に対する判定が正しいことを知っている。けれどそれは舞台上の彼らには伝わらないのだ。
「エリックは人間!ロギは人狼!」
日本語を母語としないだけにテディの言葉は時に端的で、それゆえに壁を貫けない。かくして、グランに押し負けた彼はその怒りに身を染めたまま死んでいくのである。
同じ公演でのクロードもまた、予言者という異能を持たされていた。この回の彼は、かつて同じ特殊部隊に属していたロギを敬愛する人物だった。しかし1日目のある流れから、クロードは彼に疑念を抱くことになる。自分は予言者だ、彼の潔白を知ることができる、そうだ、俺が持たされたのはそのための力だ、こんな曇りなど、どうか、晴らせ――そうこいねがって使った能力が示したのは、無残にも彼が人狼であるという現実であった。
人狼は嘘を吐く。たとえ自分を慕う相手が嗚咽を上げ、まなじりを熱に燃やし、「俺の大好きな人の嘘を、これ以上聞かせるな!!」と叫んだとしても。下手な力など持たなければ知らずに済んだ事実を前に、クロードがロギを殺し、そうしていくつか後の日の下にはクロードが別の凶弾に斃れていく。
誰が望んだ力だというのか。人の心と裏腹に持たされてしまった異能というものは、否応なしにそこに物語を生み出していく。*8
しかしだ。
立ち返って人間たちである。
人狼というゲームが個ではなく陣営としての勝利を目指す特性を持つこともあり、「人は人を信じ生き抜く」ということが根底のテーマともなりうる。何も持たず、ただ抱えるのが自分の心だけだとしたら、その信じた先が壁に打ち勝ったときに輝く光はいかほどのものか。
全12公演。通しての勝敗は人8、人狼4であるが、千秋楽に生き残ったのは人であった。
最後の引き金を引いたのは、リンツである。
互いに人だと信じた相手であるランスは昨夜殺された。彼が東京のファミリーに遺した帽子を継ぎ、その遺志を銃弾に込める。人狼であるヴァルシュは床に引き倒され銃口を突きつけられて尚騙る。笑う。
「バカばっかだなァ!」
まさに自分が喰ったはずのランスの口癖を引いて。
「ーーめちゃくちゃ犠牲は出したけど、俺たち人間の勝利だ!」
――最終幕にしてリンツが高らかに叫んだこの宣言は、10神ACTOR×人狼TLPT S MISSION EPISODE1 "FIRST CONTACT"というループを脱する締めの台詞としては、最高ではないだろうか?
いつか、また福岡で彼らは相まみえるだろうか。
それはおそらくは、ナナという女次第なのかもしれない。
10神ACTOR×人狼TLPT S MISSION EPISODE1 "FIRST CONTACT" 戦績*9
*1:
=人狼TLPT S(シスタ)とは=
オラクルナイツのサポートによって上演される、人狼TLPTと同じ形式の舞台公演です。
公演ごとに主催者は異なりますが、ゲーム指導や構成などオラクルナイツがバックアップしてまいります。
*2:あれじゃない? 一昔前はどのジャンルにもバトロワパロがあったみたいな…いや詳しくは…分かんないけど…
*3:
私が入ったのは4回で
①(人狼1人勝ち)「人間はバカばっかだな!」エンド
⑤(人間4人)「半端に殺し屋やってねぇだろ?」報酬争奪仲間割れエンド
⑩(狂陣と人狼2人)「残りのドラッグは東京にばらまくか」新しいパーティーの始まりだ!エンド
⑫(人間2人)「俺たち人間の勝利だ!」エンド
*4:TLPTでは他、魔女同士の争いであるWITCHやスチームパンク背景のSTEAMなどのステージがあるとのこと。えっ…ちょっと深入りするとオタクホイホイすぎるのでは… http://7th-castle.com/jinrou/history.php
*5:
治安の悪さを欲しているKAT-TUN担諸氏!明日のお昼フクオカディビジョンの争い当日券ご用意してますよ!人狼ゲームの舞台化・ドラッグとスーツと硝煙と雷鳴があなたを待っています!博多とマリンメッセの中間地点!ちょうどいい!10神ACTORを!!よろしくね!!!
https://twitter.com/10jinactor/status/1025236231100162048
8/4、5とマリンメッセでKAT-TUNのライブがあっていたので、なんとかこっちの当日券に誘導できないかなって流したツイート。ありがたくも何人かがRTしてくれた…
*7:見には行きそびれたけれど、シーラッハ『テロ』のように結末が複数用意されている、というのはあると思う。ハイジャックされた飛行機が、テロリストによってスタジアムに落とされようとしていた。スタジアムの7万の観客を守るために、機内数百の乗客を撃墜した軍人は果たして有罪か無罪か? 結末は幕間の客席投票によって決められる。
*8:直近で見てたアニメが『デビルマンcrybaby』と『キルラキル』だっただけにすごい尚更感がありましたね…特に明くん、めっちゃ「俺の心は人間だ!」って言うしさ…
*9:他の方にも教えていただいたりしてあらかた埋まったのですが、3公演めの生存者と6公演めの霊媒師が分からずじまいとなりました…あのね!10アクのファン層レポする文化が希薄!!いつもほぼ孤軍奮闘して早1年が経ったよ…!!!どなたかご存知だったら!よろしく!!ね!!!
ときめきは時価でおいくら?/いちオタクによる推しアクセ披露
持っているだけで気分を上げてくれる、お気に入りの「推しアクセ」はありますか? 好きなキャラのモチーフカラーを日常に取り入れてみたり、推しと同じグッズを買ってみたりして、日々を生き抜いている人は多いのではないでしょうか。
こんな言葉で始まる、ねとらぼさんの記事カテゴリ「推しアクセ」。http://www.itmedia.co.jp/author/218905/#utm_term=share_sp
それは日々の気持ちを上げるささやかなきっかけ、現場への高鳴りを増幅させるアイテム、そうしてちらりと自分のこだわりを込められるものたちなのだと思います。
もともと人のカバンや手帳の中身を拝見する記事がとても好きなのですが、そこへ来ての「推しアクセ」です。人の好きなもの語りってすごい楽しいですよね。また皆さん揃いも揃っておしゃれだ…。
その一端に並べられるかどうかはわかりませんし勝手ながらではありますが、真似っこをさせていただいてつるりとした文を。
栞 福岡のしがない会社員です。
オタク出自は二次元ですが、担当はジャニーズJr.の真田佑馬くん。加えて推しは地元福岡のエンタテインメント集団・10神ACTORの馬越琢己くんと来て、三次元から一周回って再び行き着いた二次元の推しはヒプノシスマイクの伊弉冉一二三くんです。
担当と推しの呼び分けは、重たいものをぶつけすぎた反省によります。(真田くん周りについてはこの辺りを読んで察してください)
青く澄んでは日照りの中 遠く遠くに燈が灯る - 一度や二度の悲しみじゃなくて http://bookmared.hatenablog.com/entry/2017/04/03/025908
それでは。
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生来オタクとしてここまで生きてきましたが、基本的に「赤」が紐づく人を好きになりがちというのが一貫した性質です。『スクライド』のカズマに端を発しますが、ざっくり言えば情があるゆえに戦いに身を投じざるを得ない人。
触れた順序は前後しますが、『スケバン刑事』をバイブルとする私の中では「己の性癖の源流はすべて麻宮サキ理論」を展開しています。最終巻のタイトルは「紅の血 紅の花」ですし、セーラー服を身にまとっていても彼女のオーラ的なものはやはり赤なのでしょう。
例に漏れずか縁あってか、真田くんのメンバーカラーは赤でした*1。 ということでずっと赤のアクセサリーを探していたんですが、なかなか真っ赤!っていうのって店頭では見つからず…というところでたどり着いたのが、minneで販売をされていたこちらでした。
宵待屋『口紅ドロップ』 #minne http://minne.com/items/178111
シンプルなだけに透き通った赤の力強さがあるイヤリングとネックレス。金具が金色なのも、シンメの野澤くんと居並ぶときにはそれぞれが赤×金、青×銀であった彼にはすごくぴったりで見る度うっとりするのでした。
宵待屋さん、他にもとても綺麗な石のアクセサリーをたくさんつくられています。
合わせて、レジンに少しだけはまっていた時期に自作したのがこちら。
透明のレジン液に赤と青のシェルパーツを入れて、下のパールも白と黒とでシンメっぽさを意識していました。
少し欠けていたりテグスの使い方が下手で若干浮いていたりするのですが、売り物にするでなし自分用なら許容範囲かな…という感じ。自作アクセ、付けるに耐えうるクオリティか?とそれが果たして自分に似合うか?と挙げ句それを含めてトータルコーディネートできるか?という三重苦を常に背負っている。いいんだよ眺めてりゃあ。
だがしかしそれでも、なんと10・11月に野澤くんの現場が決まったので(ふぉ〜ゆ〜主演です!)東京につけていこうかなぁ。
また2人が揃う舞台が、見たいなぁ。
追って下手なりの自作道。 10神ACTORにはメンバーカラーはありませんが*2、馬越くんもイメージは赤と言われるのが多い人です。
去年彼らにハマったタイミングで公式のYouTubeチャンネル(過去の冠番組が上がっています)を見ていると、船釣りにも!運動会にも!!レッツ革靴!!!みたいな場面が多々あって、(゚ω゚)なるほど…と謎の得心をした私は赤×革のアクセづくりに勤しむのでした。
(運動会は別の回の画像です)
何度も言うけど低クオリティはスルーしといてくれよな!
1つめ。革紐をワイヤーで巻いてあるのはご愛嬌。やはり思うような赤!ってなかなかなくて、だいぶ暗めの石を使ってあります。最初のライブ現場である熊本ワンマンに付けていった良い思い出。
2代めというかなんというか。季節が徐々に移ろっていったのに合わせて冬仕様をつくろうとしたのがこちら。リボンが上に乗っかったことによって、サン宝石のほっぺちゃんみたいだな…などとなる。
「というかなんというか」なのは、なくしたり金具が折れたりなんだりしてもはや正確には何代めか分からないせいです。集合写真を見ての通り現在も片割れしかないので、バッグチャームにでもしてまた新調しようかな…という向きあり。最近は革靴のくだりないしな…。
と来て、久っっっ々に同時並行で入れ込むことになった二次元の推しが一二三です。女性恐怖症克服のためにホストになりシンジュクナンバーワンにまでなる、健気でチャラい美人さん。かの人は右奥。
赤くないですね? いいや。リピートアフターミー、「己の性癖の源流はすべて麻宮サキ理論」。
彼女については作中で「あの人はたとえようもなくやさしい しかしあの人が強く生きていくには 弱い者を守って生きるには そのやさしさすべてをひきちぎって働くしかない人だ」というセリフがあるのですが、一二三は私の中でそのセンサーに引っ掛かったと思ってください。推しなんてフィルターだよ。あとCV木島さんの声が品があってとても好きです…。
で!!! 彼が付けているような金色のバラ(で合っているのか)のアクセが欲しくて欲しくて! だって推しアクセが!!欲しいもん!!!
こういうデザインだとピアスしかないかな〜どうかな〜と思って一通り巡っていたのですが、無事にコンバーターとセットで買うことで事なきを得ました。前からコンバーター試してみたかったので良きタイミングです。
買ったのは厳密にはバラではないのですが、ほどよく小ぶりであまり主張しすぎないのがいいな〜と思ってなかなか気に入っています。うれしい!!!
というところで、ほぼ今日の戦果を報告したいがためのブログというわけでした!
今後とも推しアクセ道分け入っていくぞ〜〜〜
他狙っているもの。
超かっこいい赤と青のピアス。催事で見かけたのですが、そのときはコンバーターを知らなかったので諦めていたのでした。そして今たぶんラインナップにはない…いやない、ないんだけど、それでも他に並ぶアクセサリーがどれもめちゃくちゃ綺麗です。あぁぁ赤青揃えて無駄に威圧感出していきたい。
今日もう1こ見つけたこちらはこれぞバラ!という感じのイヤリング。下のパーツが夏に限られるかなーと思って保留にしてしまった。でもかわいい。
パルナートポックストア☆8/3新作☆
紅鮭 タックピン 1,800円
皮がパリッパリに焼けた美味しそうな紅鮭がタックピンになっちゃいました。
白いご飯持って来てーと言いたくなる程リアルに仕上がってます。
二度見されちゃう注目度抜群アイテムですよ💫https://palnartpoc-store.com/newitem #焼き鮭
紅鮭。えっ…焼きジャケ…。
*2:ACTORS, Fire, and Heroic Things――10神ACTORメンバーカラー不依拠論 - 一度や二度の悲しみじゃなくて http://bookmared.hatenablog.com/entry/2018/04/13/190247
己のマイクで愛しい「ゆび」さえ照射せよ--『漢詩入門 はじめのはじめ』に引く「ことば」覚書
ヒプノシスマイク興隆してますね。かくいう私は去年の11月にぼんやりシンジュクのオンナになったと思ったら今年のGWを潔くバトルアンセムに溶かされかつ今もシブジュクの争いに思いきり精神干渉され続けているわけですが。そうやって沼に入り込む度に揺さぶられてしまうのがとかく「言葉の面白さ」です。
言葉は「特定化を許容するだけの融通性を内蔵している」といいます。
例えば三角形、と言えば四角形や丸や星といった他の形とは違う、これは三角形というものなのだ、との区別ができる一方で、その言葉は「正三角形でも二等辺でもなく、また不等辺でもなく、同時にこれらすべてでもあり、かつそのいずれでもないようなもの」すべてを一度に内包しています。*1
融通性、というのが大事です。何もかもを別々の言葉で完全に区別して指そう!私の持っているペンとあなたの持っているペンを区別して示すための言葉は10001字めが違います!とかなったらもう気が狂うわけで、ペン、という言葉さえあれば持ち主とか色とか太さとかにある程度幅があるものが一度に示せます(一方ではもちろん鉛筆や筆といった他の筆記具なりなんなりとを分けて特定する機能も備えたままである)(あるいはその特定性を前提として繋がりをずらす、時に逸脱するのが比喩とも言える。ペンは剣よりヒプノシスマイク。)。
言葉がそういうグラデーションの世界で成り立っているがために、人には創造/想像の余地があるわけです。独歩も「本当の世界は想像よりもはるかに小さい」て言うてます。ここで「想像できる世界は現実よりもはるかに大きい」とは言わない辺りが独歩なのでしょうが。乱数が言う通りだよ、ドーナツを見なよ独歩ぉ…焼きジャケ見えるんだから見えるって…。*2
で。例えばバトルアンセム銃兎の
48時間勾留(ヨンパチ)喰らうか?臭い飯食うか?
鉛玉喰らうか?とばっちり食うか?
という畳み掛けなんかはまさに「食う」という言葉の多義性=グラデーションが詰め込まれた部分であって。
試しにコトバンクで「食う」を引いてみると、意味として17こもの説明が挙げられています。まぁこの場合はほぼ11の「望ましくない行為を受ける」に当たるんでしょうが。
あと典型的な字義でありそうな「臭い飯食う」にしてもただそれだけではなく、このまとまり自体が刑務所行きを示す慣用句として既に機能している。そもそも48時間というのは逮捕直後の警察の取り調べ上限のことなので、歌詞の中では「捕」という漢字一文字さえ使わずにその表現をこなしていると。面白すぎるでしょうがよこんなん(「勾留」については警察から検察庁に送られた後の話というのがおそらく正確なところではありますが)。
他にも、一郎の放つ「Rest In Peace」は本来「安らかに眠れ」という弔いの言葉であるところ、敵に発しているという文脈ひとつでテメェ死んどけや殺すぞという皮肉に変わるわけです。グラデーション行き過ぎてドス黒くなってますけど。
そこに加えて、韻以上の音の遊び(ジゴロの意味を保ちつつ数字の語呂合わせを重ねかつ名前と連ねてきちんとカウントアップする「一二三GIGOLO一つづつを積み重ねる」とかマジでヤバい天才すぎる)*3、表意文字である漢字を取り込んで使う日本語ならではの振り仮名による遊び(幻太郎の「謬錯(バグ)」。語謬の方がよく聞く気がするけどそちらではなくどちらも誤りという意味の漢字をわざわざ重ねた上で読みはバグというのはそれは、果たして自然発生か人為的か故意か過失か?とか考え込みはじめて沼にはまる)*4などなど楽しいことこの上ない。この上!なくて!!!めっちゃ楽しいんですよ!!!!!
という導入は盛り上がりつつともかくとして。
漢詩ということであればなおさら韻の話じゃねぇのかよというところですが*5、安藤信広『漢詩入門 はじめのはじめ』(東京美術)の随所がものすごい好きなので覚え書きをというのがここの本題です。特にp.101の文はこれまでにもツイッターであれブログであれ何度も引いてきたものなのですが、詩、リリックを生み出すこと、引いては人が言葉を尽くそうとすることの根源ともいえる憧憬だと思います。まずはそこから始めて、各所手元に控えておきます。
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p.4
詩というのは、絵筆も絵の具もいらない、
李白 贈汪倫李白乗舟将欲行忽聞岸上踏歌声桃花潭水深千尺不及汪倫送我情李白舟に乗りて将に行かんと欲す忽ち聞く岸上踏歌の声桃花潭の水深さ千尺及ばす汪倫の我を送るの情に
李白 望天門山天門中断楚江開碧水東流至北廻両岸青山相対出孤帆一片日辺来天門中断して楚江開き碧水東に流れ北に至って廻る両岸の青山相対して出で孤帆一片日辺より来る
<スキーマ>とは、高度に抽象的な心的イメージのことである/哲学者ロックが<典型的な三角形>のイメージとは「正三角形でも二等辺でもなく、また不等辺でもなく、同時にこれらすべてでもあり、かつそのいずれでもないようなもの」であると述べた/特定化を許容するだけの融通性を内蔵している
*2:ただ後で気付いたんですが、これはそう単純にネガティブの一端として発せられたものというわけではなく、確かに現実を見据えて立った末での言葉と捉えることもできるのかなぁなどともとも思いました。というのは、ペシミストというのはまだ起こっていないことを悪い方悪い方に考えてしまってそれゆえに、「可能性に対して」こわいという気持ちを持って止まってしまうわけであって。だけどそういうのって、いざやってみたらなんてことはなかった、「思ったほどはなかった」で済むことってよくあると思うんですよね。私たちもたぶん大なり小なり実感したことはある。そう考えると、「本当の世界は想像よりもはるかに小さい」、それは、そうだ、勝手に考えてるような場所よりほんとうはあっけなくて、ちんけで、全然立ち向かえるような場所なんだ。ほんとうは恐れるに足らないんだよって。そういう風に言った言葉かもしれないよなぁって、思ったりします。
*3:「づつ」は原文ママです。本来は「ずつ」でしょうが同じ曲で「ヒックリ 変えす」という表記が使われているのでどこまでが意図的なズレかは分かりません。ただし×GIGORO ○GIGOLOは誤字でしょうね名前だからね…!名前は間違えちゃいかん。 まぁ本来とか言ったところで四つ仮名の話とかちゃんと勉強してないし難しいのでなんとも言えません
*4:表意文字ならではというところではこれが面白かった 海外にもキラキラネームはありますか。漢字のない国ではどうキラキラさせるのでしょうか | ことばの疑問 | ことば研究館 https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-37/
*5:日本語ラップの韻分析については、この号掲載の文が面白かったです 雑誌『日本語学』 2017年10月号 - 明治書院 http://www.meijishoin.co.jp/book/b307862.html
*6:とは書かれていますが自動詞と他動詞という区別は英語に特有なのではなくて日本語にもあります