既にフォークは身の内の中に
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【D1201】オレたち、月曜日から金曜日までは毎日『笑っていいとも!』じゃん?それにこないだまではA.B.C-Zコンのリハもあったから、ファンレターとかで「体は大丈夫ですか?」っ て心配されてたんだよ。でも、オレは大丈夫!コンサートは無事に終わったし、最近は佐久間に教えてもらった”疲労回復サプリ”も飲んでるからね(笑)。大学も、行けるときは行ってるから心配しないで!進学は自分自身が決めたことだもん。中途半端にはしたくないから、単位をしっかりもらえるようにがんばってるよ。
本当に、「16代目青年隊noon boyzとして『笑っていいとも!』に出演させていただいた」ということは要するに、1年生冬学期から3年時修了まで平日5日間午前中と言わず14時近くまで拘束時間があったわけで、そりゃ「大学行けてるの?」と思うのは至極真っ当なことだと思うのだけれど、それでも真田佑馬という人はこの3月、それを全うしようとしてるわけで。
ほんとはもうちょっといろいろ引っ張ってこようかなとは思ってたんだけど、「大学に通う意味」――引いては学生だとか社会人だとかという立場に関わらず「成長するべき立場」として留めておきたいものに絞って言葉を拾ってきたつもりです。*1
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【P1403】
諸星/真田くんも野澤くんもテレビ番組のレギュラーと大学生活をうまく両立してるじゃないですか。大変だと思いますが、何かコツを教えてください!
真田/いや、意外と気合でなんとかなるもんだよ。野澤/コツってほどじゃないけど、大学にいい友達がいることが大きいね。自分が大変なときにいろいろ助けてくれる人がいるってすごく大事なことだよ。ひとりじゃ何もできないもん。
諸星/…オレ、大学ではすごく内気でなかなか友達ができないんですよね…。
真田/自分からどんどん話しかけていけばいいじゃん。
野澤/それができれば今ごろ友達いっぱいできてるって!(笑)
真田/ま、最初の一歩を踏み出す勇気だよね。(略)
萩谷/オレも相談したいことがあって…、じつは今、大学に行くかどうか悩んでるんです。
野澤/一概には言えないけど、行ける環境にあるなら行ったほうがいいと思うな。
真田/オレもそう思う。周りもちゃんと学業を優先させてくれる環境だと思うし、そんなに心配しなくても大丈夫!さっきも言ったけど気合があればなんとかなる。
野澤/あとは自分が何をしたいかが大事。目的を決めてから志望校を選んだほうがいいと思うな。
とりあえず気合らしい。…いやでもなんというか、結局の核はそこなんですよね…
そしておれたちののざわがきちんとフォローしてくれるよ…のざわ…ありがとうのざわ…(流れにとらわれず咽び泣くシンメ厨)
そうして、ちょっとここで教科のこと。
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【 P1002】
テレビといえば『百識』でのイメージなのか、おバカに見られることが多いんだよ~。違うからね。本当に。成績もそこそこいい感じだから(笑)。ただ現国が苦手なだけ。だからトークがダメなんだよ。じっくり考えちゃうとダメみたいで、みんなからは「何も考えずに話せ」って言われているんだよね。
【W1208】
[1日が27時間になったら]小説を書く時間にあてようかな。(略)小説を読むのにハマってからしばらくたつけど、いずれは書くほうもがんばってみたいなって思ってるんだよね。オレ、国語大っ嫌いだったんだけど…人間って変われるね(笑)!
【W1210】
Q9.文系、理系、どっちが得意? /文系。正解がない方が得意。
最後の一文にそれこそ答えはあるのだけれど。
正直、小中高の国語っていうのは「試験問題」として提供されている以上正答が決められているものです。言葉っていうのは元々が恣意性のかたまりでその上それを扱う人も受け取る人も別個にいるっていうのに、答えが1つだと言いつけられる。だから解答解説への完全な納得ができないことで、国語への苦手意識というのは生まれていきます。もちろんある程度公約数としての解答に決着がついているものや、人がつくった体系なのでとりあえずは覚えてしまえば済む文法・漢字なんかはどうにかクリアしてほしいんですけど、とにかく「解釈の完全一致を求められるから」国語を嫌いだと思う。
だからこそ、「正解がない」と言ってあげたときこそ、それが認められたときこそ国語っていうのはいくらでも広げていくことのできるフィールドに変わるんですね。自分を発信していい、戦わせていい。
正解のない世界。
それから。
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【P1202】
真田/オレは学生の人に言いたい。今はなんでもやってみるべき。オレが言える立場じゃないけど本当にそう思う。
野澤/そうだね。社会人や大人になってからも勉強することってたくさんあるじゃない。学生のころに勉強することって、大人になって勉強するときのための方法を学んでいる気もするんだよね。
真田/いいこと言った!
野澤/Jr.の現場は勉強の連続。たとえばステージひとつにしろ限られた時間で、いかに自分たちをアピールするかは自分次第じゃない。しかもそれが次へとつながるかもすごく重要。そんなことを考えてると、中学や高校で国語イヤだなとか思ってた自分が小さく見えてくる(笑)。
真田/昔は大人が「勉強は大人になると楽しい」って言われても絶対にウソだと思ってたけど、今はすごくわかるしね。*2
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【P1305】
真田/オレと野澤の違いがわかりやすいのはテスト勉強。オレはすべて自力で頑張ってやる!って図書館に通ってるのに空回りするのに対し、野澤は社交性と交友関係を生かして「ねー、ねー。ノート見せて」とか言って要領よく勉強してうまくいっちゃうタイプなんだよ。
野澤/否定はしない(笑)。でも高校と大学では勉強のスタイルって変わるよね。
真田/高校生までは”やらなくちゃいけないもの”って感じだったけど、大学は”自分から学びにいくもの”って感じ。
野澤/きっと自分の気持ちが大きい。
真田/自主性が求められるんだよね。履修科目だって自分が選ぶわけだからさ。
野澤/そこで普段から先輩と仲良くしておくと情報がいっぱい入ってきていいよ。どの科目がいいかリサーチできる。
真田/オレは自分が学びたいものしか選ばないな。それがすごく大変だったとしてもやり抜くよ。だって同じ時間学ぶなら、自分のためになるように使いたいし。
野澤/もちろん好きであることは大事。その中で何を選ぶかの参考になるでしょ。
(略)
真田/あとは自分の気持ちに正直であること。どうせ勉強は大変なんだから、ならやりたいことのほうが続くでしょ。
野澤/たしかに大変だけど、大学に行ってよかったなって素直に思うよ。
今私自身が生徒に教えるという立場にあって、本当に「今やっていることが将来の何に役に立つのか」ということをリアルタイムで分かっている子たちなんていないし、畢竟背景や意義を伝えることととにかくやり方を機械的にでも刷り込ませることのどちらを優先しないといけないんだろうとか日頃からいろいろ悩んでいたりもするんですが。
引用4において肝心の言葉はここではわりと野澤さんが言っていますが、例えば指示に意識を向けて注意することや決められた手順を踏んで処理すること、一般的な教養としてある程度の知識を頭に入れること、興味があれなかれ取り組むこと等々、っていうのがまず、「社会で生きるために」身についていないといけないことだと思うんですね。
ただそれだけじゃだめだ。自分自身を大きくしていくために必要なもの。これについて述べているのが引用5。得心のいかないことも自分の意思でなくやらされることも学生のころから山ほどあって社会人になろうとおそらくそれはあるもので、それを呑み込む力なりは求められるんだと思う。「なんでやらなきゃいけないんだかわかんない」「わけもわからずやっていることだらけ」というのは小中のほぼすべてで、あるいは高校まで行っても尚ある。ただし、そこから段を上がって、自分の追いたいことに気付いて、自分を変えるためには、得心のいかないものを覆す野心と行動力が要る。大学っていうのは、特にそれらを納得いくようにトライアンドエラーを繰り返す経験の場所なんだろうと思うんです。
そうしてこれが真田佑馬という人の結論。
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【P1408】
Q1.今までで一番大きな決断は? /決断ってYES・NOっていう二択じゃなくて"or"だと思う。AorBorC…どんな道を選んでもいい。あとで振り返ったときに「これで正解だった」と胸を張って言えるように頑張っていけばいいだけのこと。たとえばオレが大学に通いながら『笑っていいとも!』に出てnoon boyzをやるっていうのもすごく大きな決断だった。だけど、無事に2年半頑張れたことで、結果的にその決断を正解にすることができたと思う。
これが、この人が体現してきた気合なんです。
「ナイフとフォークで今までごはん食べてたのを、いきなりこう、ナイフだけでごはん食べてって言われてるような感じっていうか」
彼が今に通ずる"大学進学への道"を拓いたという認識は担当内外越えても間違いないでしょう。これは櫻井翔が大学卒業時に感じた不安を示して出した言葉です。*3*4
そして同じく彼がラップ詞を書いた『サクラ咲ケ』の一部。
『「右へならえ」から踏み出すこの一歩を
打った点が分ける結果 陰と陽』
『やった後言うならまだ分かるんだ』
『そうそりゃ時間なんてのはかかる
春には大きな花を咲かす』
真田佑馬が「やる前には予想のできないような困難」を選び取り体感し、点を打ってきたのは揺らぐことのない事実です。
大学、学生という立ち位置を抜けて気持ちの上で「フォークの取り上げられる不安感」というのはないわけではないと思います。ただ彼は、もうこれからの道を成しうるためのそれをきっと持っている。手に持つ、手離すことができうるものとしてではなく、既に血肉として。
今までに打ってきた点と、これから打っていく点が、いつか線を結びますように。
3月、大学卒業、おめでとうございます。
ただ、あのハードな日々を乗り切れたのは決して自分ひとりの力じゃなくてファンの人たちの応援があったからこそ。最近あらためてそのありがたさを実感してるよ。
少しでも、彼の力になれればこれ以上にうれしいことはないなと思いながら、日々を生きています。