一度や二度の悲しみじゃなくて

だいたい野澤と真田の話をしています

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

生き物と僕とにまつわる寓話

稽古場を出ると、にやにやと楽しそうな顔に眺められる。「…なんですか」壁にもたれて待つという演出をするのも多少面倒くさい。いやまあこの人の場合そういう"ベタ"が好きな昭和の人間だからなぁと、こっちからも笑い返した。カオルくんは組んでいた腕をほど…

数と文字とにまつわる寓話

やぁー良かったなぁーと笑いかけて目を細めると、瞳に光が差してその黒々とした色が尚更印象を強める。少し首を傾げると同じように艶を持った黒い髪が揺れた。僕たちの中で一番年嵩であるにも関わらず、少年のように無垢な仕草を挟ませる。彼はこの人のこう…